ヤングなでしこが目指すは東京五輪。「この3位はあくまでも通過点」 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 今大会は、女子サッカーの最高峰とされるオリンピックが終了した直後の開催とあって、世代的にも、時期的にも次なる東京オリンピックに向けての試金石であり、パワーバランスの縮図でもあった。おそらく各国とも、この大会の活躍をきっかけにフル代表入りする選手も少なくないはず。日本も例外ではない。U-17世代から高倉監督の指導を受けてきた選手も多く、現在、なでしこジャパンを兼任する高倉監督の本格的な新生なでしこジャパン構築の方向性をうかがう意味でも、高倉イズムを叩きこまれたこの世代のサッカーが世界の舞台でどれほど通用するのかは重要なポイントだった。

 日本の連動性を駆使したパスサッカーは、今大会も目を惹いた。日本ほど多彩な攻撃バリエーションを見せた国はなかったが、通用したかと問われると肯定することは難しい。

 まだ経験値の低さから十分とは言えないまでも、それぞれが相手を見極めながら連動することで、相手のスピードを殺す守り方を見出し、守備力を対応させていく手応えはあった。

 一方で、攻撃に関しては収穫と課題が両極端に得られた。

 準決勝のフランス戦は日本の現在地を明確に表した一戦だった。長谷川の言葉を借りれば「いい試合をしても結局は結果」ということ。互いに長所を消し合いながらの真っ向勝負を決したのは、"決定力"。実に明快だ。

 フランスは日本の連動が崩れたその一度のチャンスをモノにし、そこで動揺した日本の隙を見逃さず、確実にゴールを奪った。日本は相手をブレさせることができず、フランスの守備に風穴を開けられなかった。これこそ、経験なくしては身につけることができない"駆け引き"だ。この世代の選手たちがそのレベルにまで達していることの証明でもあったが、その"駆け引き"を自分たちのモノにする力があったのはフランスのほうだった。

 3位決定戦では、ゴールをこじ開けたことで課題を克服した面もあれば、完全に試合をコントロールしている中で、もっと早い段階で仕留めきれなかったという事実も残る。

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