欧州勢に大勝のハリルJとボコボコに負けた韓国。その差に思う一抹の不安

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 そんな成功体験がある国とない国の差を、1-6と7-2の関係に見るような気がする。日本に求められているのは、簡単には勝ちにくい設定の中での試合だ。楽勝は進歩どころか退化を招く。

 その楽勝劇も、ラッキーが大きく関与していた。真横からの映像を見ていないのでなんとも言えないが、岡崎慎司の先制ヘッドは、オフサイドを取られていても不思議のない、まさにホームタウンディシジョンだった。あれがノーゴールだったら、そして前半22分、ブルガリアFWディミタル・ランゲロフのヘディングシュートが川島永嗣の好セーブに阻まれなかったら、試合はもっと接近したスコアになっていただろう。

 そこで岡崎にラストパスを送った柏木陽介は、香川真司が挙げた続く2点目のゴールにも、サイドチェンジという役割で絡んでいた。貢献度大。ハリルホジッチが6人の交代カードを切るなかで、中盤より前で唯一フルタイム出場を果たす姿に、監督の好印象を見た気がする。

 だが彼は一方で、試合が7-0ではなく、荒れ気味の7-2になった原因にも絡んでいた。ブルガリアは平常心でちゃんと戦えば、それなりに強い、潜在能力の高いチームだ。この試合でも、とりわけその攻撃的な魅力を随所にのぞかせていた。柏木が頼りなく見えたのはその時だ。相手ボール時の対応に、ひ弱さが出た。反応もポジショニングもいまひとつだった。

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