欧州勢に大勝のハリルJとボコボコに負けた韓国。その差に思う一抹の不安

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 その2日前、ライバルの韓国は中立地オーストリアで行なわれた親善試合で、5点差のスコアで敗れている。相手はまもなく開幕するユーロ2016で前人未踏の3連覇を狙うスペイン。強豪中の強豪にボコボコにされたわけだ。

 スペインはほぼ勝てる見込みのない相手だ。試合前から大敗を覚悟しなければならない強豪と欧州で戦い、予想通り1-6で敗れた。韓国代表は醜態をさらけ出したわけだが、計算通りの大敗であることに、心憎さを感じる。日本より上手。残念ながら、賢いと言わざるを得ない。

 2002年日韓共催W杯で韓国代表監督を務めたフース・ヒディンクは、その強化方法についてこう述べた。

「1年半の任期の前半は、敗戦をテーマに戦った。韓国サッカー協会の幹部は、勝ちやすい相手と試合することを望んだが、私はそれに抵抗し、勝ち目の薄い強豪との対戦を積極的に組んだ。まずダメ出しをして、自分たちが強くないことを自覚させたのです」

 話を聞いたのは、強豪との対戦の最中だ。結果がまったく出ていない時だった。韓国メディアからは「ヒディンク辞めろ!」の声が湧き起こっていた。だが、彼は泰然自若としていた。「チームはここから上昇に転じるから、見ていてください」との言葉通り、ラスト半年あたりから急上昇。本番では就任当初と見違えるチームに変身していた。

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