緊張感が違う!新生なでしこジャパンは女王アメリカに通用するのか? (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Kyodo News

 新戦力や若手選手に対してではなく、経験のある選手達に感じていた違和感を指摘したのだ。世界のトップレベルで戦い続けてきた選手達だからこそ、試合の駆け引きの中で、行くべきところとそうでないところを知っている。だが、慣れからくる「あと一歩」への妥協が、チームの歯車を狂わせる原因にもなる。

 そして午後の練習では、守備面の1対1の対応と、複数で連動してボールを奪う3対3を徹底した。

「(相手の)スピードを吸収する、そこで飛び込まない!」
「相手の間合いを怖がるな!」
「(前が)寄せないと(後ろの)ポジションが決まらない!」

 ポジショニングや出足の細かなタイミングは、大部由美ヘッドコーチがその都度プレーを止めて修正を加えていく。若手選手たちだけでなく、経験のある選手たちにも緊迫感が高まった。

 選手たちは指揮官のメッセージを、どのように受け取ったのか。

「これまで、1対1などの切り取った練習は少なかったですし、味わったことのない厳しさが新鮮ですね。なぁなぁになっていた部分を改めて鍛え直されました。監督もコーチも、遠くからでもしっかりと見ているので、気が抜けません」(阪口)

 守備の出足のタイミングを改善することで、球際の妥協がなくなり、ボールの奪いどころが定まってきた。それが結果的に、質の高い攻撃につながっていく。もちろん、一朝一夕で足並みが揃うものではない。この変化を確かなものにするためには、オフザボールの動きや、思考の連動にも質の高さが求められる。

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