屈辱の北朝鮮戦。一夜明けて選手たちが気づいた「柔軟性」

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 左がポゼッションで、右が速攻――。攻撃のバランスを示すメーターがあるなら、ブラジル・ワールドカップのころはバランスの針が極端に左へと傾き、今は右に振り切れている状態だ。

北朝鮮に逆転負けを喫し、がっくりうなだれる日本代表の面々北朝鮮に逆転負けを喫し、がっくりうなだれる日本代表の面々 ザッケローニ時代の「自分たちのサッカー」からの脱却を目指し、「勝つためにはスタイルを選ばない」アギーレ前監督を招集したが、ハリルホジッチ現監督になって再び、「自分たちのサッカー」に縛られ始めている。「ボールを保持して主導権を握る」スタイルではなく、今度は、「縦に速いサッカー」という自分たちのスタイルに......。

 1-2で痛恨の逆転負けを喫した8月2日の北朝鮮戦。Jリーグの試合をこなしたのが7月29日で、中国入りしたのが30日。現地で初練習を行なったのが31日だったから、その時点で北朝鮮戦は2日後に迫っていた。

 選手のコンディションが厳しい状態にあったのは間違いない。それだけでなく、砂の混じった劣悪なピッチコンディション、さらに18時20分のキックオフだというのにスタンドの温度計は35度を表示していた。おそらくピッチの上の体感温度は、40度近くあっただろう。

 だとすれば、なおのことコンディションや気候に応じたサッカーをするべきで、こんな酷暑のなかでは、あのドイツ代表であっても猛プレスとコレクティブカウンターを90分間繰り出すことは不可能だろう。

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