W杯予選ドロー発進。ハリル監督が見逃している日本の2つの問題点

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 相手がもう少し強ければ、FWに日本代表級の選手が1人、2人いれば、失点を食っていた可能性は大いにある。真ん中攻撃は、3本ある攻撃ルートの中で、奪われた時のリスクが一番高いからだ。そこで攻守が入れ代われば、身体は裏返しになる。一歩目で大きく置いていかれる。

 それはザックジャパンを連想させた。真ん中に突っ込んでいき、奪われるやカウンターで失点を重ねたブラジルW杯対コロンビア戦だ。そのコロンビア戦後、長谷部誠はこう述べた。「我々は最後まで攻撃的に戦った」と、胸を張った。それは攻撃的というよりセオリーに反した無謀な姿だ。にもかかわらず、自らを正当化した。日本サッカーの悪い習慣と言いたくなる理由だ。代表の中で最も賢そうな選手が、悪いという自覚を持ち合わせていない。一刻も早く、正さなければいけない点に見えた。

 次期日本代表監督に、何より改善をお願いしたいのはそこだった。しかし、ハリルホジッチは、そこにはこだわらなかった。

 サイドを上手く使えば、攻撃はいくらでも速くなる。真ん中よりサイドの方が相手の数が少ないからだ。タッチ数や素早いパス回しも重要だが、攻めのルートはそれ以上に重要だ。ハリルホジッチには、いまだ日本サッカーの悪い習慣が見えていないようだ。

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