日本代表に風雲急?本田圭佑に何が起きているのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ザッケローニはどうなのか。それまでエースの名を欲しいままにしてきた本田を中村俊輔のようにベンチに下げるのか。それとも、そのスケールダウンには目をつむり、これまでの流れを活かそうとするのか。奇しくも両指揮官は同じ悩みを抱えることになった。

 岡田さんがもしザッケローニなら、いまの本田をどう扱うか。かつて三浦知良を最後の最後にメンバーから外した過去もある岡田さんなら、思い切って代えそうな気がするが、いまの日本ベンチに、4年前の本田はいない。日本人離れした強シュートを放てる選手も、キープに自信がある選手もいない。中心選手が務まりそうな代役候補はいないのだ。

 ハッキリしたのは、サッカーにおける「中心」主義は危ないということだ。「本田ジャパン」は、本田を止められたらすべて終わりであることを意味する。本田に異変があれば、チームは大改革を余儀なくされる。そしていまがその時のような気がする。

 これは、まさかの展開だろうか。僕にはそう見えない。2011~12シーズンの前半、彼は右膝の半月板を負傷した。チームを長期離脱して手術を行なった。復帰を果たしたものの再発。さらに翌2012~13シーズン、今度は左足首を負傷。三たび、長期にわたり戦線離脱した(今年1月に手術を受けたとの報道もあった)。

 少なくともこれ以降、強烈なインステップは影を潜めた。自慢のキープ力もかつてに比べて低下した。ケガのダメージを見て取ることは簡単にできた。だが、そのあたりを指摘する人はほとんどいなかった。触れてはいけないもの。隠されたものになっていた。しかしサッカー協会関係者なら、本田の身の上に何が起きているかを知っていたはずだ。ザッケローニもしかり。

 現在の姿は、予期せぬ出来事ではないはずだ。本田には明かされていない謎がある。だからこそ、必要以上に痛々しく映る。ザックジャパンはもはや本田ジャパンにはあらず。日本代表は最後の最後に来て、風雲急を告げている。僕にはそう見えて仕方がない。

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