【なでしこ】W杯決定よりも大きなエース大儀見優季の「置き土産」 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ここからというときに離れなければならない苦しみを覚悟した上での合流だった。「だからこそ、持っている力以上のものが出せる局面もあった」という。

「今できる自分のプレイは見せ切れたと思う」(大儀見)。あとは後輩たちがどう感じて、自らのプレイに落とし込んでくれるかを祈るばかり。これが期間限定でしかチームに貢献できない苦しみを抱える大儀見の、"後輩へ、そしてこの厳しい状況でアジアを獲ろうとしている仲間へ"の彼女流の置き土産だ。

 試合はキャプテンマークを巻いた阪口を中心に中島ら中堅選手と若手が踏ん張り、7-0で圧勝。最後は澤、大儀見が入ってゲームを締め直したが、若手でゴールをこじ開け、試合を決したことは十分に評価できる。

 この勝利で日本はグループリーグAを首位で決勝トーナメントに進出。これにより5位以内を確定させた日本はワールドカップ出場権を獲得した。

 しかし、選手たちからはそのことについて語られることはほとんどなかった。彼女たちにとってワールドカップ出場は単なるノルマなのである。「アジアカップを獲ることが目標。ここからが勝負だと思っています」と宮間あやはその表情を引き締めた。

 準決勝の相手は19日に行なわれるグループBの最終戦の結果によって、韓国か中国に決まるが、どのみち倒さなければならない相手。グループリーグでどれだけ底上げがなされたのか、中3日のインターバルでどうチームを固めるのか。このチームの成長を図る準決勝は22日にキックオフを迎える。

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