ザッケローニの3-4-3が機能しない理由 (3ページ目)
ところが日本には、欧州ではおなじみのこの中盤フラット型4-4-2の文化が根付いていないのだ。日本で普及したのはブラジル式(中盤ボックス型)の4-4-2(4-2-2-2)。もちろん、中盤フラット型3-4-3とは近しい関係にはない。
4-2-3-1を基本とする日本代表が中盤フラット型3-4-3を採用したいなら、その前に4-2-3-1と近しい関係にある中盤フラット型4−4−2をマスターする必要がある。はたしてザッケローニは、日本サッカーのそうした背景を、情報として耳にしていただろうか。聞かされていないのだろう。そこのところを知らされぬまま、ここまで来ているのだと思う。
日本代表の現在の姿はザッケローニだけの責任ではない。迎える側にも大きな責任があると僕は見ている。
中盤フラット型4-4-2と中盤ボックス型4-4-2(4-2-2-2)の一番の違いは、サイドハーフが前者にはいて、後者にはいないことだ。中盤フラット型4-4-2の文化がないということは、すなわち日本にサイドハーフの概念が希薄なことを意味する。
4-2-3-1の「3」の左を任されながら、7割の時間帯、真ん中で構える香川真司は、そうした日本式文化を象徴する選手だと言える。おそらく香川がそのことに気づいたのは最近の話だと思う。中盤フラット型4-4-2が、国の伝統的な布陣になっているイングランドに行ってからではないか。
すぐに真ん中に入ってしまう香川の姿には、ザッケローニの抱えている問題の本質を垣間見ることができるのだ。
もっとも、同じ3-4-3でも、4-2-3-1と近しい関係にあるものもある。中盤ダイヤモンド型の3-4-3だ。アヤックス型、バルサ型の3-4-3と言ってもいい。4列表記なら3-3-3-1、3-3-1-3、あるいは3-1-3-3と言われる3-4-3だ。
ヒディンクが韓国代表監督時代に採用したのもこれだ。ヒディンクは就任当初、4-2-3-1で戦っていた。だが、W杯の抽選会で、本大会のグループリーグで対戦する相手が4-4-2を採用するチームだと知ると、すかさず布陣を3-4-3(3-3-3-1)に変更。本大会はこれをメインに戦った。
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