セルビア戦0-2も当然。勇気を失ったザックジャパン (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 後半も含め、その後の試合はおおむね日本ペースで進んだと言っていい。ザッケローニ監督が「アウェーの地でこれだけの内容の試合を、しかもヨーロッパのトップレベルのチームを相手にできたのはポジティブなこと」だと話すのは、このあたりが根拠になっているのだろう。

 セルビア代表のミハイロヴィッチ監督も、「日本は世界でも上位にランクされるチームだと分かっていた。コンパクトでキレがあり、よくオーガナイズされたチームだったので非常に難しい試合になった」と振り返っている。

 ところが、結果は0-2。58分、セルビアに後半最初のチャンスを生かされ、先制を許すと、試合終了直前の追加タイムにもカウンターから失点して万事休した。

 敵将がこの勝利を「幸運以外の何ものでもない」とし、「我々は若い選手が多く成熟していないので、日本のような強いチームに苦戦するのは当然」だと語ったのは、いくらなんでも謙遜が過ぎるとはいえ、少なくとも日本が圧倒的な力の差を見せつけられて敗れたわけでないのは確かである。

 では、なぜ日本は勝てなかったのか。答えは簡単。ゴールを奪うことができなかったからだ。

「チャンスの数とゴールの数が比例しない」

 ザッケローニ監督がそう言って嘆くのも分からなくはない。とはいえ、指揮官の言う「チャンスの数」のなかに一体、決定的なチャンスがいくつあったか。残念ながら2、3回というところだろう。

 問題解決のためにはフィニッシュの精度を高めることも必要だが、それ以上に、いかにして「決定機の数」を増やすかを考えていかなくてはならない。

 そのために必要なのは、安定したボールポゼッションで相手を押し込み、人数をかけて崩し切ることだ。

 この試合のように、相手が築いた強固な守備ブロックを前にして、岡崎慎司や柿谷曜一朗を走らせて1本のパスでDFラインの背後を狙う"一か八か"のようなやり方では、決定機の数を増やすのは難しい。ましてや中盤でのパスミスが多く、簡単にボールを相手に渡してしまっていたのでは話にならない。

 また、このところの試合で失点が多いことを気にしてか、パスをつながず簡単にクリアしてしまうシーンが多いのも気になった。"安全第一"はもちろん大切だが、できるだけ自分たちがボールを保持する時間を長くし、ボールを自分たちのゴールから遠ざけておくこと。それこそが、日本の勝利の可能性を高める最も有効な手段である。

 DF今野泰幸は「個人としても組織としても、まだまだ足りないからこういう結果になった」と語る。だが、結果として負けたことはさほど気にする必要はない。むしろ問題なのは試合内容。

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