栗原勇蔵「東アジアカップ組の実力は、海外組と比べても遜色ない」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 中国戦、オーストラリア戦は、得点を重ねてリードしながらも、さらに点を取りにいこうと前がかりになったところをやられた。勝負に徹するならば、冷静に守りから入る戦い方もできたと思うが、6月のコンフェデレーションズカップ(以下、コンフェデ)を戦ったチームといい、今回の東アジアカップに臨んだチームといい、日本はリードしている状況での戦い方が稚拙だ。

「コンフェデのイタリア戦は、前がかりになったのもあるけど、2-0になって(選手の)気がゆるんでしまったことが大きい。その隙を(相手に)突かれた。ただ、どんな状況であれ、コンフェデにしろ、今回の東アジアカップにしろ、自分たちの守備がやられたことは事実。(敵への)対応や、崩され方も非常に悪かった。それを反省しても、(うまく対応できるように)実行できないことには意味がないんだけど、それがなかなか実践できていない。だから正直、(気持ちは)すごく"モヤモヤ"しています」

 栗原は、コンフェデのときも、今回の東アジアカップも、「同じようなやられ方で失点している」と指摘する。3試合で9失点したコンフェデで露呈した守備の課題は、東アジアカップでも改善が見られなかった。

 いったい、日本が抱える守備の課題とは何なのか。実は、コンフェデ第3戦のメキシコ戦のあとに、栗原はこんなことを言っていた。

「(日本の)右サイドからクロスを上げられて、エルナンデスに先制ゴールを決められる前、サイドバックのケアに入れる位置に(細貝)萌とオレがいたんだけど、オレは外につり出されたくなかったんで、そこは萌に(外に出て)カバーにいってほしかった。でも、声を掛け合っていたらもう間に合わないから、オレが一歩外に出ようとしたら、その瞬間にクロスボールが自分の頭の上を越えていってやられた。その躊躇というか、一瞬の判断ミスが失点につながってしまった。そのとき、オレはもっと中で守っているべきだった。ちょっとしたポジショニングのミスで(世界では)やられる。そうしたミスが出てしまうのが、今の日本の課題だし、個人の課題でもある」

 栗原と同様、今野泰幸も「世界レベルになると、ひとつ、ふたつのポジショニングミスでやられる」と語っている。栗原が語る課題は、代表DF陣の間では共通認識となっているようだ。それを踏まえて臨んだ東アジアアップだが、中国戦、オーストラリア戦と失点を重ねて、守備の悪い流れを止められなかった。

 原因は分かっている。だが、やろうとしていることができない――。それが、栗原のモヤモヤを一層膨らませた。

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