イラク戦は「代表サバイバル」第一弾。チャンスをつかむのは誰か? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

 ケガや出場停止などによる多少の入れ替わりこそあれ、レギュラーメンバーを固定することで熟成を進めてきた日本代表。11年のアジアカップ優勝以来、ベースとなる11人が変わることはなかった。

 だが、昨夏あたりをピークに、その"成熟による強化"にも限界が見えていた。

 それを考えれば、メンバーの入れ替えが行なわれるのは当然のことであり、むしろ遅すぎたくらいだとも言えるが、指揮官の口からはっきりとこうした指針が打ち出されたことの意味は大きい。

 また、そのタイミングも絶妙だったと言える。

 11日のイラク戦は、4日後にコンフェデ初戦(15日ブラジル戦)を控えているため、主力組のコンディションを考慮し、オーストラリア戦から先発メンバーの何人かが入れ替わることが予想されていた。

 それはもちろん、コンフェデでは先発メンバーを主力組に戻すことが前提であり、控え組にとっては一時的な代役を務めるに過ぎなかったわけである。少なくとも、これまでならば。

 しかし、「コンフェデ後は全員が同じスタートラインからの競争」だと明示されたらどうだろうか。これまで控えに甘んじてきた選手たちにとっても、今後のポジション獲得へ向けて大きな動機づけとなるのは間違いない。

 あらゆる意味で消化試合になりかねなかったワールドカップ予選最終戦が、「代表サバイバル」の第一弾として俄然、熱を帯びる可能性は高まった。清武弘嗣が語る。

「試合に出ていない選手にとってはチャンス。そのチャンスを生かして、絶対に勝ちたい」

 長友佑都、内田篤人という、実績あるサイドバックの厚い壁に挑む"ダブル酒井"もまた、イラク戦への意気込みに変わりはない。

 酒井高徳が「まずは自分の特長をガンガン出すこと。アピールする身なので、消極的なプレイはしたくない」と意欲を示せば、酒井宏樹もまた、「チームに合ったリズムのなかで、どれだけ個を出せるかというのが大事になってくる。チャンスをもらえたら、そういうところを意識してやりたい」と腕をぶす。

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