【なでしこジャパン】粘り強くブラジル撃破。チームに生まれた一体感 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

 守備陣が踏ん張り、攻撃陣がそれに応える。まさに個々がそれぞれの役割をまっとうすることにより、チームに一体感が生まれ、それが結果へと結びつく形となった。

 ボール支配率はわずか36%。シュート数は10対21、CKの数も2対10と、数字上はブラジルに圧倒された。それでも時間の経過とともに徐々にリズムを掴んだ日本は、最後は危なげない戦いぶりで逃げ切った。一体感が出てきたチームは、戦術的にもうまい切り替えを見せ、勝利を手繰り寄せた。

「相手の身体能力、技術、パスワークにやられた感はあった。相手にボールを支配されたが、リトリートしてカウンターをねらいながら切り抜けるしかないと思い、それを徹底した」(佐々木監督)

 想像以上だったブラジルの攻撃に慌てることなく、じっくりとチャンスをうかがったあたりは、チームが自信をつけてきた証拠だろう。グループリーグ第3戦の南アフリカ戦は、「ドロー狙い」が物議を呼び、チームに嫌な空気が漂うことも心配された。しかし、なでしこジャパンはしたたかな戦いぶりで、そんなムードを断ち切った。

 準決勝の相手は、開幕直前のテストマッチで0-2と完敗したフランスに決まった。苦戦は必至と予想される。しかし、この日のようなチーム一丸となった戦いができれば、相手はどこだろうと勝利の芽は十分ある。

 グループリーグではどこか低調だったチームは、ここへ来て一気にギアを上げつつある。ひとつの山は越えたが、勝負はこれからが本番。残り2試合、見逃せない戦いになりそうだ。

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