【日本代表】本田圭佑
「このチームには、ずっとやってきた信頼関係がある」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 本田の答えは、ある程度、予想していたものだった。満足していたとしても「満足した」とは決して言わないだろう。しかし、この2試合、特にヨルダン戦は、南アフリカW杯のときとは比較にならないほど、多彩な攻撃と得点のバリエーションを見せてくれた。これは、間違いなくチーム力が向上しているという証拠でもある。

「確かに得点のパターンは増えたと思います。その理由はすごくシンプルで、海外でプレイしているヤツが増えたから。海外だと今の日本のようにパスを細かくつなぐというのはないけど、タテへの突破とかスピードとか、そういう部分で揉(も)まれている。それがヤット(遠藤保仁)さんとマコ(長谷部誠)のいる中盤でポゼッションするとき、プラスに生きている。ポゼッションするところとカウンターするところの使い分けはまだまだですけど、みんな意識するようになっているし、徐々に良くなってきていると思います」

 今の代表は、オマーン戦、ヨルダン戦ともにスタメン中9人が海外組だった。そのせいか、例えばボ-ルを高い位置で奪ってからのショートカウンターは、格段に鋭さを増している。しかも、それを特に話し合うこともせずに普通にできているのだ。それは、本田の言う海外でプレイしている選手が増えたという理由以外、見当らない。

 ポゼッションでは、ヨルダン戦の2点目、本田が決めた1発目のゴールが印象的だった。遠藤が出したスルーパスから生まれたゴールだが、遅攻の中、ボールを回しながらタイミングを見計らい、一発で急所を突くという攻撃ができていた。また、ヨルダン戦の先制点のように、セットプレイからもゴールを決められた。PKもあって、まさに日本の多彩な攻撃の破壊力を見せつけた試合だった。

 本田は、言う。

「ヨルダン戦は出来過ぎの部分もあるけど、あの時間帯で、セットプレイで(前田)遼一くんが決めたことで、自分たちのペースになったことが、大差になった要因かなと思います。自分の1点目は、文句の言いようのないパスで、走っているだけで目の前にボールが来た。ヤットさんに感謝したいな、と思います。2点目は、結果オーライというか、オカ(岡崎慎司)がシュートを打ったと思うんですけど、あれも良く言えば、オカがシュートを打つタイプというのが(自分で)わかっていたから生まれたゴールやと思うんです。今までずっと(一緒に)やってきている信頼関係が、そこにはあるんです」

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