【日本代表】本田と香川だけじゃない。
出色の出来だった前田遼一が生み出した攻撃のリズム

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 しかも、単なる脇役で終わらないのが、今の前田である。

 オマーン戦でも、ポスト役としてボールを受けるだけでなく、DFラインの裏を狙う動きも繰り返した。それが実を結んだのが、2点目のゴールだ。前田が「あれはミス。ラッキーな部分があった」と苦笑いしたように、香川のパスを受けたトラップこそ乱れたが、最後はきっちりゴールに押し込む決定力の高さを見せた。

 また、3点目となる岡崎のゴールも、前田の積極的な仕掛けから生まれたものである。前田は周囲を生かそうとするだけでなく、ストライカーらしい貪欲さも披露した結果、この日の3ゴールすべてに絡んだ。

 5大会連続となるワールドカップ出場へ向け、重要なカギを握る最終予選初戦。

 本田と香川の2枚看板に注目が集まるなか、過去、2年連続J1得点王に輝いた日本屈指のストライカーもまた、存分に力を発揮した。

「チャンスはあったので、もっと(得点を)取りたかった」

 試合後、前田はいつものように淡々とした口調で反省の言葉を並べたが、この日の背番号18は本田、香川の2枚看板に勝るとも劣らぬ、出色の出来だった。

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