【なでしこジャパン】ベテラン・宮本ともみの存在感とレギュラーメンバーの危機意識 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

なでしこジャパンとしてアテネ五輪などに出場したベテランの宮本ともみなでしこジャパンとしてアテネ五輪などに出場したベテランの宮本ともみ 北京五輪では代表入りを逃し、ここ数年はなでしこジャパンから遠ざかっている。それでも、宮本は自分の可能性を信じて、2009年には古巣の「伊賀FCくノ一」から「マリーゼ」への移籍も試みた(2011年に伊賀へ復帰)。さまざまな道を経て、今再びチャレンジメンバーとしてこの合宿に参加した宮本だったが、試合形式のトレーニングでは人数の少ないなでしこジャパンに入り、以前と変わらぬ存在感を示した。

「ワールドカップでのみんなの活躍を見て、もう異次元というか別の世界にいるように感じていました」という宮本に新たな決意をさせたのが息子の一言だった。

「どうして、ママはあそこにいないの?」

 もう一度、あの場所に立ちたい。昨シーズンから伊賀でプレイし、環境も安定した。今、その肩からは必要以上の力が抜け、その心からは無駄な欲が削ぎ落された。

「今、本当に心からサッカーが楽しいんです。こんな気持ちになれるなんて思っていなかったし、そんな心境でサッカーをしていて、それが評価されたことが何より嬉しい!」と宮本はスッキリとした表情で語る。今、彼女を突き動かしているのは純粋なまでのサッカーへの想いだけだ。

 今回、なでしこジャパンにチャレンジしたのはU-17、U-20女子代表選手たちも同じである。2012年、なでしこジャパンがロンドン五輪を迎えるのと同様に下のカテゴリー代表も各世代のワールドカップを控えている。

 昨年、その予選に臨むにあたり、なでしこジャパンのワールドカップ優勝は大きな影響があった。「私たちも後に続くんだ!」。なでしこジャパンに憧れ、追いつこうと若い選手たちは懸命だった。そしてそれぞれがアジアを制し、今や日本はアジアの新女王という立場に立った。

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