今中慎二がフォアボールで炎上の中日ピッチャー陣の課題を指摘「ゾーンで勝負することを再度徹底すべき」 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――調子がよかった時はピッチャー陣の与四球が少なかったですが、その点はキャンプ中の今中さんからのアドバイスが生きていたのでは?

今中 昨季にフォアボールが多かったことは立浪監督も指摘していましたし、球威のあるピッチャーに関しては「どんどんゾーンを攻めていったほうがいい」とキャンプで伝えました。それが結果的にフォアボールを減らすことにつながったのかもしれませんが、自信を持って投げていたのに、ちょっと打たれた時に"怖さ"を感じてしまったんでしょう。

 ピッチャー陣の調子がよくて勝ちが多かった時でも、たまにフォアボールを出すとそれをきっかけにほぼ失点していましたからね。4月4日の巨人戦でも、梅津が先頭の菅野智之にフォアボールを出して、先制点を取られた。結局は、調子がよくても無駄なフォアボールを出すと、失点して負けてしまうんです。フォアボールは極力出さない、出したら出したで切り替えて投げられればいいのですが、なかなか切り替えができていません。

――逆にフォアボールを減らせば、抑える確率も上がる?

今中 それが顕著に出ています。フォアボールが少なければなんとか抑えられますし、野手が守っていてもリズムがいい。それは打線にも影響するでしょう。連勝して首位に立っていた頃はリズムがよかったですから。

――改善していくためには、ピッチャー陣がゾーンで勝負することを徹底すべき?

今中 そうですね。相手の4番バッターでも関係なく、どんなバッターに対してもゾーンで勝負していくべきです。今はどのチームを見ても、それほど怖い打線はありません。阪神は打線に火がつきましたが、ほかのチームではヤクルトの村上宗隆の調子が上がり出したぐらいですしね。課題ははっきりしていますし、ピッチャー陣がゾーンで勝負することを再度徹底すれば、勝ちを拾っていけるはずです。

(後編:バッター陣の課題は「阪神打線から教えてもらった」 得点力アップに必要なこと>>)

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1989年、大阪桐蔭高校からドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多賞(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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