なぜドラフト3位?「度会隆輝と双璧だった」 社会人屈指の実力者、巨人・佐々木俊輔の打撃技術と超強肩は群を抜いていた (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

【中村晃を思わせる打撃センス】

 なかでも、開幕から存在感を示したのが佐々木である。ここまで(4月23日現在)19試合に出場して、打率.236とオープン戦の勢いこそなくなったが、打線のつなぎ役として犠打、進塁打を決めながら、ジャイアンツ打線の貴重なワンピースとして貢献している。

 1月の新人合同自主トレのスタートから、2月のキャンプ、3月のオープン戦、そして開幕と、ここまで休むことなくプレーを続けている"心身の強さ"こそ、佐々木の大きなアドバンテージになっていることは間違いない。帝京高での3年間、東洋大での4年間、いずれも練習の厳しさでは有名な"名門"で、ずっと試合に出続けてきたという事実も、その心身の強靭さを裏づけている。

 昨年のドラフトで、精鋭揃いの社会人球界から指名された外野手は、佐々木と、ENEOSの度会隆輝(DeNA1位)だけ。

 ならば、どれほど優秀な外野手だったのか。

 帝京高時代から、レフト前、センター前のシングルヒットならいつでもOK......そんなバッティング技術を持っていた。

 印象的だったのは、左投手が相手でも右肩が開かないこと。ボールをギリギリまで呼び込んで、スパッと一瞬でとらえることができたのは、スイングスピードに自信があるからだ。ボールを長く見られるから、ミート能力も高かった。帝京高の偉大な先輩である中村晃(ソフトバンク)を思わせる打撃センスを感じたものだ。

 東洋大に進学しても、やはり1年時からベンチ入り。この頃からシートノックでの佐々木の動きが楽しみになった。ライトポールあたりからでも、三塁送球はワンバウンドのストライクスロー。ライト定位置からのバックホームは、定規で線を引いたような猛烈なレーザービーム。

 社会人でセンターを守っていた際も、定位置よりかなり後方のフライでタッチアップしようとした二塁走者が、あまりに勢いのある三塁送球に驚いて、帰塁した場面を目撃している。

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