高木豊が語る「教え子」筒香嘉智のDeNA復帰 強力打線での起用法、移籍先に古巣を選んだ理由を考察した (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――ちなみに、DeNAへの復帰が決まる前に一部で「巨人への入団が決定的」と報じられました。さまざまな声が上がるなかで、結局は古巣に戻ることになった一連の流れをどう見ていましたか?

高木 僕の個人的な意見としては、お金とかの問題ではないと思うんです。筒香はいつくかの球団と交渉したと報道が出ていましたが、やっぱり誠意の問題なんじゃないかと。あくまで予想ですが、DeNAよりもお金を積んだ球団はたぶんあったと思うんです。でも、筒香が以前つけていた背番号「25」をずっと空けていたこともそうですし、DeNAの誠意が筒香に響いたのではないでしょうか。

 たとえばメジャーに移籍する際にイザコザがあって、球団と選手間に溝があったりすると、日本で在籍していた球団に復帰する際に「のこのこ帰ってくるのか」とファンに思われることもあるでしょうし、選手側も「それなら日本へ戻る際は、ほかのチームに行ったほうがいい」となります。ただ、筒香の場合はそうではないですし、DeNAは本当に誠心誠意を尽くしたんでしょうね。

 会見で「正直、日本に復帰するモチベーションが上がらなかった」という本人の発言もありましたが、相当な覚悟を決めて日本球界に戻ってきたはずです。「ベイスターズで優勝したい」という思いが最終的な決め手になったそうですし、どんなプレーを見せてくれるか楽しみです。

(後編:好調・ソフトバンク打線と山川穂高へのブーイング「受け止め方は人それぞれ」>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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