元DeNA、巨人・山口俊が語る先発転向と落涙のFA宣言「ベイスターズに残りたい気持ちもあった」 (4ページ目)

  • 石塚隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 長谷部英明●撮影 photo by Hasebe Hideaki

「ベイスターズに残りたい」という気持ちも抱えながらのFA宣言

――ベイスターズ時代、先発としては二桁勝利を挙げるなど存在感を示しました。抜群のスタミナに強いストレート、縦の変化と緩急を織り交ぜながらゲームを作っていく。やりたかった先発で投げてみて、どんな風景が見えていましたか。

山口 正直に言えば、自分はプロになってこれがやりたかったんだって。2014年9月の阪神戦で初完投・初完封をすることができたのですが、達成した時は、自分が理想とする、憧れてきたピッチャー像はこれなんだって素直に思えたんです。

――起死回生の先発転向。しかし先発になって3年目の2016年シーズンを終えると、11年間過ごしたベイスターズを離れFAで巨人へ移籍します。

山口 FAに関しては、移籍するにせよしないにせよ、他球団の評価を聞いてみたかったというのはありました。

――当然の権利だと思います。当時、涙を流しながらの権利行使表明でしたね。

山口 正直に言えば、ベイスターズに残りたいという気持ちもあったんです。2016年にベイスターズは初めてクライマックスシリーズへ進出したものの、僕はシーズン終盤の故障で、最後まではチームの力になれなかったという心残りもありました。しかし交渉を重ねた結果、うまくいかず、愛着のあったベイスターズを離れることになりました。

>>インタビュー後編に続く

【Profile】山口俊(やまぐち・しゅん)
1987年7月11日生まれ。大分県中津市出身の元プロ野球選手。大相撲の元幕内力士である谷嵐関を父に持つ。甲子園に2度出場し、2005年の高校生ドラフトで横浜ベイスターズ(当時)から1位指名を受け入団。2009年のシーズン中にクローザーとして頭角を現し、2010年から2年連続で30セーブを記録。その後先発に転向し、自身初となる二桁(11勝)勝利をあげた2016年オフにFAで巨人に移籍。2018年には平成最後となるノーヒットノーランを達成。2019年は勝利(15勝)、勝率(.789)、奪三振(188)の3冠に輝く。2019年オフに、巨人の選手としては初となるポスティングシステムによる移籍でMLB挑戦を表明。2023年春に現役引退を表明した。現在は東京・六本木でちゃんこ店『TANIARASHI』を経営している。日米通算460試合に登板し、68勝70敗112セーブ。

<山口俊さんのインタビューの動画はこちら>

『TANIARASHI』
東京都港区六本木5-18-20 ファイブビル 103
TEL:03-6441-0212
https://www.instagram.com/taniarashi.roppongi/
創業から57年続いている秘伝の出汁で作る『寄せ鍋ちゃんこ』の他、大分料理を堪能できる。

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