ヤクルト打線は「忖度なしでセ・リーグNo.1」 真中満が考えるベストオーダーは「6番・山田哲人」 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

【「打って、打って、打ちまくる」勝ち方を目指す】

ーー投手陣については次回でじっくりと伺いますけど、昨年はリーグ2位となる534得点を記録しました。今シーズンはさらなる上積みはありそうでしょうか?

 もちろん、さっきも言ったように主力がみんないい状態で開幕を迎えられそうなこと、西川の加入で足を使えるようになったこともあるので、得点力はアップすると思います。何度も言うけど、打撃陣には何も心配していません(笑)。

ーー一般論になりますが、相手投手やデータに応じて、打線を柔軟に変えていったほうがいいのか、それとも昨年のタイガースのように固定メンバーで臨んだほうがいいのか、この点はいかがですか?

 それは一概には言えないですね。基本的には、打線がきちんとつながって点がとれる状態であれば、わざわざ打順をいじる必要はないし、なかなかつながらずに結果が出ない時には、データを重視して打線をいじることも必要になってくるし。

 ただ、今年のスワローズ打線について言えば、誰がどの打順でもきちんと結果を残せるので、相手投手を見ながら、あるいは自軍の打者の調子を見ながら、いろいろ変えてみても面白いと思います。

ーー先ほどから「投手陣が不安だ」とのことですが、そうなると、今年のスワローズは打って、打って、打ち勝つ野球を目指す必要がありそうですね。

 まさに、今年のスワローズが優勝するならば、そういう勝ち方しかないと思います。序盤でパン、パンと点をとる。できれば大量点が理想だけど、試合序盤で主導権を握ってピッチャーの負担を軽くすること。

 もちろん、相手チームのエースが出てきたら、いくら強力打線でもそう簡単に打ち崩すことはできないけど、それでも「打ち崩す」という姿勢が大切。とにかく打席では粘り強く臨んでほしいですね。

ーー真中さんのお話を聞いていると、「今年のスワローズ打撃陣は安心だ」という気持ちになってきました(笑)。

 本当に大丈夫ですよ。順位予想では多少の忖度込みで2位予想としたけど、打撃陣に関しては忖度ナシで「セ・リーグナンバーワン」だと言えますから(笑)。

ーー次回は、投手陣について伺います。

最終回<ヤクルト先発投手陣は「いくら考えてみても苦しい...」 真中満が「12勝」を期待するキーマンは?>

第1回<【真中満のセ・リーグ順位予想】巨人は「Bクラス」も打倒・阪神の「一番のダークホース」 中日、ヤクルトは躍進>

第2回<【真中満のパ・リーグ順位予想】西武が大躍進にソフトバンクは「Bクラス」...オリックスの「山本由伸の穴」は不安なし>

【プロフィール】
真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県出身。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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