【真中満のセ・リーグ順位予想】巨人は「Bクラス」も打倒・阪神の「一番のダークホース」 中日、ヤクルトは躍進 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

【タイガース連覇の可能性は60%】

ーーでは、5位のカープについてお願いします。

 カープは「若い選手がどれだけ機能するか?」にかかっていると思いますね。打線に関しては西川龍馬が抜けたのはかなり痛い。でも、僕が注目しているのが田村俊介。高卒3年目で、今年あたり出てきそうな気配もある。

 昨年は2位だっただけに、若い力がどれだけ台頭できるかで順位は変わってくると思いますね。ただ、現状の戦力を見ると上位4チームには劣るということで5位予想です。

ーー就任2年目となる新井貴浩監督についての印象はいかがですか?

 ふだんは平静を装っているけど、勝負どころになると5回、6回であっても、一気呵成に手を打ってくる。そんな印象がありますね。藤井彰人ヘッドコーチとのコミュニケーションも良好で、勝負勘に優れた監督だという印象があります。

 ただ、ピッチャーに関しては、栗林良吏や矢崎拓也はいるけれど、それ以外の中継ぎ陣が少々手薄なので、どこまで整備できるかもポイントです。

ーーそして、最下位はベイスターズということですが、その理由は?

 ベイスターズは、打線はすごくいいと思うんです。だけど、このチームもスワローズ同様、問題はピッチャー。先発ピッチャーで言うと、昨年7勝の今永昇太が抜けて、同じく10勝のバウアーもどうなるかわからない。さらに、中継ぎ陣にも不安が残ります。

 昨年は山﨑康晃の状態が上がらず、伊勢大夢も6〜8月は防御率5.55と不振だった。昨年、その穴を埋めた森原康平も、そこまで全幅の信頼を寄せるほどでもない。こうした点で、最下位予想としました。

ーー先発のみならず、中継ぎ陣にも不安が残るというのが理由ですか?

 さっきも言ったけど、打線はリーグ有数の爆発力があるので「打って打って、打ち勝つ」というのが勝つためには大切だけど、それ以上にピッチャーが打たれてしまってはどうにもならない。そのあたりが大きなポイントとなりそうです。

ーーこれでひと通り順位は伺いましたけど、この予想はスムーズに決まりましたか?

 いや、かなり悩みましたよ。とくに「ジャイアンツを何位にすればいいのか?」ですね。結局4位予想としたけど、一気に優勝を狙える爆発力があるのもジャイアンツ。でも、やっぱり今年はタイガースが強いと思いますね。連覇の可能性は60%。僕は、そう見ています。

ーー続いて、パ・リーグの順位予想を聞いていきます。

第2回<【真中満のパ・リーグ順位予想】西武が大躍進にソフトバンクは「Bクラス」...オリックスの「山本由伸の穴」は不安なし>

第3回<ヤクルト打線は「忖度なしでセ・リーグNo.1」 真中満が考えるベストオーダーは「6番・山田哲人」>

最終回<ヤクルト先発投手陣は「いくら考えてみても苦しい...」 真中満が「12勝」を期待するキーマンは?>

【プロフィール】
真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県出身。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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