山本由伸や山﨑福也が抜けたオリックス投手陣を星野伸之が分析 「大黒柱」候補の山下舜平大は「15勝は狙える」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【山本が抜けた穴は「全員で埋める」】

――新外国人投手が3名加入しましたが、いかがですか?

星野 (ルイス・)カスティーヨと(アンダーソン・)エスピノーザは残りの先発枠を争う形になるでしょうね。カスティーヨは長身からサイド気味で投げるボールが打ちにくいと思いますが、長いイニングを投げられるかどうか。エスピノーザは真っすぐの威力はありそうですけど、決め球となる変化球がないのが懸念点です。

 連戦が続くと先発ピッチャーは7、8枚必要になってくるので2人が入ってくる可能性はありますが、基本的には山岡や椋木蓮、曽谷、齋藤らと競わせる形でしょうね。そこに吉田輝星も絡んでいくかもしれませんし、「誰が出てくるか」という楽しみがあります。

――リリーフのアンドレス・マチャド投手は、どんな印象ですか?

星野 球威がありますし、球速も160km近く出たりしていますが、課題は制球ですね。スライダー、チェンジアップ、ツーシームの精度が上がってきたらバッターは相当に厄介じゃないかと。勝ちパターンを担うセットアッパー、もしくはクローザーとして期待されているでしょうし、今後の調整次第でどこまで状態を上げていくか注目です。

――昨年まで、「ここぞ」という試合には山本投手が登板し、多くの勝利を収めてきました。まさに大黒柱だったわけですが、その役割は誰が担っていくことになりそうでしょうか?

星野 3年連続で投手4冠(勝利、防御率、勝率、奪三振)を達成した由伸の代わりはいません。なので、「由伸の抜けた穴を全員で埋める」という意識を各ピッチャーが持つべきなのかなと。

イニング数に関しては、昨年は故障離脱であまり投げていない山下や、10試合のみの登板だった東が規定投球回数に達するか、それに近いイニングを投げられれば埋まるでしょう。勝ち星に関しては、西川龍馬を補強して厚みが増した打線の援護に期待したいところです。
 
 得点力がアップして点差をつけられれば、先発ピッチャーにもう1イニング多く投げさせられる場面が増え、リリーフを休ませることができます。とはいえ打線は"水物"なので、リリーフを厚めにしてもいいのかなと。極端に言えば、由伸が登板する試合はベンチ入りしたリリーフ陣もゆっくりできる「休日」みたいなものでしたし、緊張感があったのは9回に投げる平野佳寿ぐらいだったはず。そういうピッチャーがいなくなったんですから、リリーフの人数を多めにするのもひとつの策だと思います。

(野手編:「西川龍馬は5番がいい」 今季の打順やポジションはより「変幻自在」>>)

【プロフィール】

星野伸之(ほしの・のぶゆき)

1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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