今中慎二が中日の臨時投手コーチとして伝えた「四球の多さ」「体の開きの早さ」への対策 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――体が早く開かないようにするための対策などはあるんですか?

今中 ピッチャー陣に伝えたのは、踏み出す足の使い方です(右投手であれば左足)。踏み出した足を地面につける際、親指のほうからつけることで体の開きを遅らせることができます。また、着地させた足の踏ん張りがきくので、体の軸が安定して横に流れることもありません。ただ、髙橋も仲地もそうですが、つま先全体を地面につけるピッチャーが多い。その場合は踏ん張りがきかなくなるので、体が早く開いてしまうんです。

 手の位置は横だろうが上だろうが、どこでもいいんです。でも、足が踏ん張れないと体の開きが早くなって手が見やすい。手の位置ばかりを気にせず、足を意識すれば自然と手の出どころが見えにくくなるよ、と伝えました。

――そういう傾向があるピッチャーに対して指摘したんですか?

今中 気になったピッチャー全員に話しました。(ウンベルト・)メヒアはブルペンで投げるボールはいいけど、バッターが立つと打たれていましたが、やはり体の開きが早かった。150km以上のボールでも空振りが取れず、打ち返されてしまうのは手が見やすいからだという話をしました。(マイケル・)フェリスもそうです。

(ライデル・)マルティネスは別で、彼の場合はキャッチボールや立ち投げを見ただけでも、打たれない理由がわかりました。そりゃあ160km前後のボールを投げて、手の出どころが見にくかったら打たれないよなと。そういう要素が揃っているから、常に無双状態のピッチングができるんでしょうね。

(後編:中日の命運を握る先発投手の課題 ドラ5右腕、左のリリーフ候補に注目>>)

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1989年、大阪桐蔭高校からドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多賞(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る