「今年ダメだったらクビだと思う」ソフトバンク仲田慶介が語る「育成と支配下のリアル格差」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 仲田は福岡大大濠高、福岡大を経て2021年育成ドラフト14位指名を受けてソフトバンクに入団。同年のドラフト会議で最後に名前を呼ばれた「ドラフト最下位」である。

 ファンにサインを書く際、「何か一言書いてください」とリクエストされると、仲田はいつも「下剋上」としたためる。もし2021年ドラフトで128番目に指名されなければ、独立リーグでプレーすると決めていた。NPBとの境界線にギリギリ食い込んだ者だからこそ、成り上がりたい思いは人一倍強い。

「背番号3ケタの選手は、一軍の試合に出場する資格がないので。やっぱり、プロ野球選手は一軍の試合で活躍してこそだと思うんです。その資格を持っていない時点で、自分は本当のプロ野球選手ではないと思っています」

 一見すると同じソフトバンクのユニホームを着ているように見えるが、じつは支配下登録の選手と育成選手ではユニホームの生地が異なる。仲田は「育成選手のユニホームは汗を吸収する機能がちょっと違って、重く感じます」と証言する。

 道具を巡る待遇も異なる。仲田は大手スポーツメーカーから用具提供を受けているものの、その量は支配下選手の半分。仲田は「バットを1本折っただけで『ヤバイな......』と焦ります」と明かす。これが育成選手の現実なのだ。

【強豪校に一般入試で入学】

 筆者は大学3年生だった仲田の強肩に驚かされ、注目するようになった。そして実際にインタビューする機会に恵まれ、その進化の過程にもっと驚かされた。

 高校3年春まで、仲田は強豪校のごく平凡な控え選手だった。同期の三浦銀二(現・DeNA)や古賀悠斗(現・西武)らスポーツ推薦組がスカウト陣から注目されており、一般入試で入学した仲田は「まったくレベルが違う」と感じていたという。

 だが、仲田は猛烈な努力で急速なレベルアップを遂げる。練習後に近所のバッティングセンターに通いつめ、限界まで打ち込んだ。そのバッティングセンターが「ストラックアウト」でパーフェクトを達成するとバッティング用のメダルがもらえる仕組みだったため、ストラックアウトでメダルを荒稼ぎしてまで打撃練習にあてていた。

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