高木豊が注目するセ・リーグ若手の左バッター3人「20歳であんなバッティングができるのか」とゾッとした選手も (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――ほかに注目している左バッターは?

高木 広島の田村俊介(3年目)もいいですね。キャンプで見て感じたのは、体がひと回り大きくなったということ。バッティングはパンチ力もミート力もあるし、タイミングを少し崩されても膝を柔らかく使ってボールを拾ったりと、柔軟性も優れています。(2月23日の)中日とのオープン戦では、初回に髙橋宏斗のきわどいコースのボールをカットして粘って、最後は甘いボールをライトに持っていった場面(適時三塁打)がありました。そんなふうに、自在に反応できるんです。

――前川選手との違いは?

高木 前川は懐をうまく使います。腹を引っ込めて、バットの"抜きどころ"を作るイメージでしょうか。なので、インサイド打ちがうまいんです。一方の田村の場合は、膝と肘の使い方が抜群にうまい。打つポイントが前にズレた場合、膝を使って体を前に移動させないといけませんが、その際の動きが柔らかいんです。バットコントロールもいいですね。前川もそうですが、将来的にはチームの3番、4番を打つ可能性もあると思います。

 前川と田村は、まだ実績がないので気は早いかもしれませんが、宮本武蔵と佐々木小次郎のような関係になりそうな気がするんです。今後、ふたりはお互いが強力なライバルになって、それが長く続いていくんじゃないかと。どちらが武蔵になり、どちらが小次郎になるのか。ふたりとも、そう表現したくなるほどの逸材ですよ。

【近本を手本にする中日4年目の外野手】

――他に気になる左バッターはいますか?

高木 「変わったな」と思うのは、中日の三好大倫(4年目)でしょうか。阪神の近本光司のバッティングをイメージしながらバットを振っているようなのですが、少しずつ近づいてきているように見えます。お手本とする選手になりきる、というのは打撃能力を高めるためのひとつの手ですし、しっくりきている感じがあるんじゃないかと。

 フォーム自体は大きく変えていないと思うのですが、頭の中に描いている動きのイメージが変わったというか......技術が大きく向上する、バットの軌道を変えるといったことではなく、イメージを変えることでよくなってきた。バッターは、そういうことで打ち始めることがよくあるんです。だからバッティングって面白いですよね。

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