「台湾の打撃王」が巨人・岡本和真との再会に興奮 かつて甲子園を目指した梁家榮の次なる夢 (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

練習中、岡本和真(写真左)と談笑する梁家榮 photo by Asa Satoshi練習中、岡本和真(写真左)と談笑する梁家榮 photo by Asa Satoshiこの記事に関連する写真を見る ベンチ前に戻ってきた梁にどんな会話をしたのか尋ねると、詳しくは教えてくれなかったが、自分のことを覚えていてくれたことに感謝していた。

 試合は、楽天モンキーズの投手陣が踏ん張り得点を与えなかったが、打線もチャンスこそつくるがランナーを還せず、0対0の引き分けに終わった。

 2番・セカンドでスタメン出場した梁だったが、楽しみにしていた菅野智之との対戦は2打席とも凡退に終わった。ともにスコアリングポジションにランナーを置いての打席だったが、1打席目は初球を狙うが内野フライ。ランナーふたりを置いた第2打席は快音を響かせたセカンドに転がったが、吉川尚輝がさばき、ファーストの岡本に転送されたアウトとなった。

 シーズン前の調整段階ということもあり、3打席を終えたところで途中交代となった。梁にとっての夢の舞台は、あっという間に終わってしまった。

 梁は高知中央高から台湾に戻ったあと、地元で開催されたU18ワールドカップに出場している。その時に対戦した日本チームのメンバーは、今や球界を代表する選手ばかり。森友哉、若月健矢、山岡泰輔(オリックス)、高橋光成(西武)、松井裕樹(パドレス)ら錚々たる顔ぶれだ。

 以前は日本球界でのプレーを希望していたという梁だが、すでに妻子を持ち、現在28歳。夢は封印し、母国・台湾の野球を盛り上げていくつもりのようだ。

「契約や条件にもよりますが、今は外国でプレーすることは考えてないです。台湾の野球のレベルがもっと上がるために頑張っていきたい」

 巨人との対戦で、梁に台湾野球を世界のトップレベルに押し上げるという新たな夢が芽生えてきた。

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プロフィール

  • 阿佐 智

    阿佐 智 (あさ・さとし)

    これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。

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