侍ジャパン メジャー組ではない4人のWBCアナザーストーリー 世界一へと導いたそれぞれのプロフェッショナル【WBC2023】 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 実際、源田も栗山監督から直に「センターラインの守りは最優先で固めたい」と伝えられていた。"ショート・源田"はWBCのカギを握る──守りを重視してチームをつくろうと考えていた栗山監督は、早い段階でショートを源田に託すことを決めていた。源田もこう話している。

「WBCに出るのは初めてですし、どんな野球なんだろうとか、どんな発見があるのかなとか、そこで自分は成長できるのかなと思うと、ワクワクしますし、楽しみです」

 源田はこれまでプレミア12で金メダル、東京オリンピックでも金メダルを獲得してきた。国際舞台の勝ち運を持っている、というわけだ。

「ベンチから見ることが多かったので、勝ち運という感じでもないとは思いますが、でも、僕が子どもの頃にWBCを見て『かっこいいな、僕も日の丸を背負う野球選手になりたいな』と気持ちが高まったことはよく覚えています。僕もこういう立場になって、子どもたちに同じような気持ちになってもらえたら、すごくうれしいなと思っています」

【トラウトに対峙した戸郷と大勢】

 そして決勝で登板したふたり、戸郷翔征と大勢は、事前に語り合っていたマイク・トラウトとの対決が実現した。まずはそのやりとりを再現しよう。

戸郷 大勢さん、WBCでマイク・トラウトを打席に迎えたら、どう抑えますか。

大勢 どの球を投げても甘く入ったら打たれると思うので、強気で勝負したいかな。そのなかで相手を感じながら投げられたらいいと思うけど、やっぱり手が伸びるゾーンは危ないから、低めじゃなくて高めの真っすぐを3球続けるとか......もちろん、相手のがっつき方を見ながらにはなるけどね。

戸郷 僕も真っすぐで攻めたいですね。真っすぐでファウルをとってフォークを振らせられたら最高です。

 そんなふうにイメージを語っていた2人、まずは3回。2番手としてマウンドへ上がった戸郷は、いきなり2番のトラウトと対戦する。その初球、アウトハイに149キロのストレートを投じると、トラウトが見逃してワンストライク。2球目も、今度はインハイへ149キロのストレートを続けてファウルを打たせ、あっという間に追い込んだ。ここから勝負球はフォーク。3球目はワンバウンドでボールとなったものの、4球目のフォークはいいところに落ちて、空振り三振──なんと、事前に語っていたイメージそのままの配球だった。戸郷は試合が終わって、こう話した。

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