投手力だけじゃない! 未来のスラッガー候補の雄大な打球に「強打のオリックス」の未来が見える (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 そして横山は、大学生投手が豊作と言われた昨年のドラフトで、オリックスが単独1位指名したショートの逸材だ。

「強肩とは聞いていたけど、とんでもない肩をしていますよ。三遊間の深い位置から、ショートバウンドかなと思った送球が、そこからホップしてくる。ダイレクトで投げているのに、一塁手が捕り損なう」

 あるコーチは「自分の球歴のなかで、初めて見る強肩」と絶賛する。

 昨年秋、ドラフトまで1カ月に迫った頃、取材で学校のグラウンドを訪れた。ノックを見ていると、捕球→送球の一連の動きに乱れがあっても、どの角度からでもレーザービーム級の一塁送球で解決してしまう「猛肩」に目を奪われたものだ。

 打撃でも、ライト後方に流れる千曲川の河川敷を目がけて、立て続けに120m級の打球がフェンスを超えていく。明らかに飛ばそうと気負った打ち方になっているのに、打ち損じが少ない。ただのパワーヒッターじゃない。インパクトの感覚も鋭いものを持っている選手だと見た。

【4番しか似合わない内藤鵬の存在感】

 先にバッティングゲージに入ったのは横山。考えてみれば、まだ卒業前の高校生だ。とてもそうは見えない落ち着き。3年連続パ・リーグを制したメンバーに囲まれても、堂々とバットを構えている。まず、そこがすごい。

 そしてボールに合わせてスイングするのではなく、しっかり自分が振りたいように振り切っている。気負って、力んで、打ち損じもあるが、だからといって周りの視線を気にしたり、ミート中心に変えようしたりはしない。実直に、愚直に、投げ込まれるボールを全身で弾き返していく。

 タイミングが合った時のライナー性の打球は、なかなか落下せずに右中間のフェンスに何本も直撃している。横山は打球を上げようとするタイプではなく、強烈に叩いてバックスピンをかけるスイング。自分から踏み込んで攻めていくスイングスタイルだから、プロの変化球に慣れるまで少々時間がかかるかもしれないが、それでもツーベース、スリーベース量産型の中距離ヒッター。それが横山の「未来予想図」だ。

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