ヤクルト沼田翔平が「シーズンを捨てたから毎日のようにできた」と体力強化 支配下登録へ「一度クビになった人間...性格悪くいきたい」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 巨人時代は一軍で7試合に登板するも、勝ち星はなく、防御率9.45という数字が残っている。その時のピッチングに悔いが残っているかと聞くと、「ありません」と返ってきた。

「逆にあの技量で、よく一軍で投げさせてもらえたなと。その時と比べれば、今は一軍で投げる準備はできていますし、自分のなかでそのイメージもできています」

 前出の尾花氏は、この2月に鹿島学園高(茨城)の投手コーチに就任。同時にスポーツ界における行きすぎた指導を改善できないかと、『選択理論心理学』を学び、講演会も行なっている。沼田の成長する姿を、外から見守ることになった。

「沼田は、自分がこれをやると決めて、練習して結果に結びつけた。成長しましたよね。持っているものはいいのだから、『自分はできるんだ』と自信を持ってほしい。練習している以外でも野球のことを考えて、もっともっと、自分がどんな野球選手になりたいのかを明確にしてほしい。今回、一軍キャンプに呼ばれたのだから、それを最後のチャンスというくらいの気持ちで、支配下、そして一軍を勝ちとってほしいですね」

 目標を明確にした努力は、きっと実を結ぶはずだ。


沼田翔平(ぬまた・しょうへい)/2000年6月24日、北海道生まれ。旭川大高から18年育成ドラフト3位で巨人に入団。プロ2年目の20年6月に支配下登録されると、5試合に登板。22年は2試合の登板に終わり、翌年は再度育成でスタートするも、シーズン後に戦力外通告を受ける。同年11月にヤクルトと育成契約。

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プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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