ソフトバンクのドラ1投手は「欠点らしい欠点が見当たらない」 元エース・攝津正が分析する若手投手たちと小久保新監督への期待 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【現役時代に共にプレーした、小久保新監督の印象は?】

――小久保監督に招聘され、3年ぶりに復帰した倉野信次投手コーチ(チーフ)兼 ヘッドコーディネーター(投手)が先発ピッチャー陣をどう立て直すのか注目ですね。ちなみに攝津さんは、現役時代に小久保監督と共にプレーされていますが、どんな印象をお持ちですか?

攝津 多くの選手から慕われていましたし、人格者だと思います。それと、トレーニングのスケジュール管理など、すべてをきちっと決める細やかさを感じました。自分に対しての厳しさを持っている方だと思うので、下準備などを念入りにしていたのかな、という印象です。

"兄貴分"で選手たちとよく食事に行っていました。自分も誘っていただいたことがありますし、ピッチャー陣や野手陣のくくりも関係なく、みんなと積極的にコミュニケーションを取っていましたね。今回のキャンプを見ていて感じたのは、現役時代よりも選手との距離が近いということ。年齢差がある選手たちもやりやすそうにしていました。

――小久保監督は侍ジャパンの監督を務めた後、ソフトバンク一軍ヘッドコーチ、二軍監督を経て、満を持しての一軍監督就任ですね。

攝津 侍ジャパンを率いてプレミア12(2015年)やWBC(2017年)を戦った経験はとても大きかったと思いますし、昨年までソフトバンクの二軍監督をされていたので、若手選手たちのこともしっかり把握しているはずです。一軍監督は初めてですが、最初からどっしりと腰を据えた野球を見せてくれるんじゃないかと期待しています。

 あと、キャンプでは割とブルペンにいる時間が長くて、ピッチャーをよく見ていました。個人的に、監督はあまりピッチャーを見ない印象があるのですが、そこも把握しようという意図が伝わってきました。基本的にはそれぞれの担当コーチに任せていますし、足りない部分を少し自分がアドバイスする、という感じに見えましたね。

――小久保監督は就任会見の際、王貞治監督時代に築かれた "王イズム"の継承と浸透を掲げていました。若手・ベテランに関わらず、主力選手が常にチームの先頭に立って引っ張り、手本を示すということですね。

攝津 そうですね。小久保監督自身も現役時代はそういう存在でしたし、柳田悠岐選手や中村晃選手、今宮健太選手、近藤健介選手らにそういう役割を求めているはずです。

それと、「ファンを第一に考えること」なども含まれているんじゃないかと。キャンプではサイン会を多く行なっていましたし、ファンサービスに注力していました。ここ数年は悔しいシーズンが続いていますから、ファンを喜ばせるような結果を期待しています。

(後編:打線は「1番に捕手を据えるのもアリ」1番固定の問題、育成トリオ、右の大砲候補について語った>>)

【プロフィール】
攝津正(せっつ・ただし)

1982年6月1日、秋田県秋田市出身。秋田経法大付高(現ノースアジア大明桜高)3年時に春のセンバツに出場。卒業後、社会人のJR東日本東北では7度(補強選手含む)の都市対抗野球大会に出場した。2008年にソフトバンクからドラフト5位指名を受け入団。抜群の制球力を武器に先発・中継ぎとして活躍し、沢村賞をはじめ、多数のタイトルを受賞した。2018年に現役引退後、解説者や子どもたちへ野球教室をするなどして活動。通算282試合に登板し、79勝49敗1セーブ73ホールド、防御率2.98。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る