佐々木朗希のメジャー挑戦騒動は「周りがとやかく言うことではない」元ロッテ清水直行「両者の間で決めた条件がすべて」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【1年を通して先発ローテを守れるか】

――これまで最も多くの回を投げたのは、3年目(2022年)の129回1/3。プロ入り後4年間で規定投球回に到達したことがありません。吉井理人監督は今季のノルマとして「中6日で150イニング」を掲げています。

清水 昨シーズン終了後に吉井監督とお話した時も、「(2024年のシーズンは)ローテーションを飛ばさずに、しっかりと投げてもらいたい」と言っていました。昨年はマメや左脇腹の肉離れで離脱してしまいましたし、まずはローテーションをしっかりと守ること。それさえできれば、結果がついてくるピッチャーだと思いますし。1試合の目安としている球数で、どれだけ長いイニングを投げられるかもポイントですね。

――昨年のロッテはシーズン終盤に先発ピッチャーの故障者が相次ぎ、ローテーションのやりくりに苦労していました。その意味でも、佐々木投手にシーズンを通してローテーションを守ってもらうことが、優勝を狙う上で欠かせない要素になりますね。

清水 昨年は小島和哉投手が3年連続となる規定投球回に到達するなど、ある程度成長してくれました。また、トミー・ジョン手術明けで不安を抱えていた種市篤暉投手が、初めてふた桁勝利を挙げて自信を持てたことも大きい。ただ、信頼できる先発ピッチャーの枚数が足りないので、佐々木投手を含むこの3人がローテーションをしっかりと投げてくれなければ困ります。逆にこの3人がしっかりしていれば、他のピッチャーも続いてくるはずです。

 佐々木投手はコンディションに問題がない限り、吉井監督も「今年は多くのイニングを投げてくれよ」と思っているでしょう。試合展開にもよりますが、「あと1イニングいくのか、いかないのか」という場面で首脳陣や本人がどういう判断をするのか。そこにも注目したいと思います。

(後編:ロッテで「いきなり13、14勝するかも」若手投手 野手では「体がひと回り大きくなった」藤原恭大に期待>>)

【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)

1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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