ヤクルト山田哲人が語る「モチベーション維持の難しさ」 WBC、五輪、日本一を経験後の原動力 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

【トリプルスリーは永遠の目標】

 2014年、山田にどういう野球選手になりたいかと聞くと、「目指しているのは長打があり、時にしぶといバッティングをする。つまり、相手から嫌がられる選手になりたい」という答えが返ってきた。あれから10年、今はどういう野球選手を目指しているのだろうか。

「そこは今も変わらないですね。相手ピッチャーから嫌がられたり、守っている選手から嫌だなと思われるだけでも、配球だったり、コントロールがバラついたり、こっちにとってはプラスに働くので。これからもそういうバッターになりたいと思っています」

 これまで驚きの記録を並べてきた山田だが、「トリプルスリーは永遠の目標です」という観点で見れば、最年長達成記録は岩本義行(松竹ロビンス/1950年)の38歳となっている。今年32歳になる山田に「まだまだ先の話ですけど......」と向けると、「さすがに38歳は無理じゃないですか」と苦笑いを浮かべた。

「そこまでは想像できないですけど、僕はスピードを生かして野球をするのがもともとのスタイルなので、そこは長所にしたいですし、そこを目指して頑張りたいと思っています」

 浦添キャンプでは、グラウンドでの打撃練習を終えると室内練習場に場所を移し、打撃投手相手に打ち込む日々を過ごしている。ひと振りひと振りの眼光は鋭く、若い頃の練習風景とはまた違う雰囲気を漂わせていた。

 髙津臣吾監督は、今キャンプでの山田の印象について「彼の心の中は本人にしかわからないので、こちらは表情や動きからしか確認できないんですけど」と前置きして、こう答えた。

「あきらかに10年前と違うところが何カ所かあると思います。そこに気づいて修正していこうとするのか、ほかの部分を伸ばそうとしていこうとするのか。それぞれの考え方があって、どれが正解かとは言いづらいですが、そこは彼にしかわからない部分だと思います。チームにとって、彼がふつうにセカンドを守ってくれて、3番を打ってくれるのが一番の立ち位置だと思っていますし、彼の代わりはいないと思っています」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る