荒木雅博「もうどうにでもなれと送球した」日本シリーズ初の継投完全試合のラストプレーで「じつはボールをうまく握れていなかった」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 以前、あるNPB審判員に「荒木選手はいつも息を切らしている印象がある」と聞いたことがあります。なぜなら、一塁手のタイロン・ウッズ選手(2005〜08年)をカバーするために走り回っていたからだと。2005年は913守備機会の二塁手の日本記録を樹立されました。

荒木 結果的にそういう記録ができたことは知っています。タイロンは打ってくれればよかったので、そこは割り切って、縦横無尽に駆け回りました(笑)。

── 現役23年間プレーし、通算2220試合に出場して2045安打、打率.268、34本塁打、468打点、378盗塁。

荒木 「ドラフト4位かもしれない」という評価からプロ入りして、ここまでの数字を残せて満足です。逆に、できすぎくらいの感じです。あの1995年のドラフトで、1位指名だった福留孝介とのちに一緒にプレーできたのも縁なのでしょうね。

【現役最後の打席で打撃のコツがつかめた】

── 現役生活のなかで、思い出に残るプレーや記録はありますか。

荒木 ゴールデングラブ賞を6度受賞したり、盗塁王のタイトルを獲ったり、オールスターにも5回出場させていただきました。ただそれよりも、通算2045安打というまさかのヒット数です。なかでも、2018年に能見(篤史)くんから右中間に打った2045安打目が、いま思えば一番印象深いです。「あっ、こうやって打てばいいんだ」と思ったのが、結果的に現役最後のヒットになりました。「あるある」ですよね(笑)。

── 失礼ながら、荒木さんは"固め打ち"が多い(2004年に1試合4安打9度の日本記録)一方で、連続47打席無安打という記録もありました。

荒木 とにかく「ヒットを1本打つと安心したらまた打てる」という気持ち的なものが大きいと思います。年間出場試合数より安打数が多いのが8シーズン続きました。逆に打てない時は「打たなきゃと思いすぎて打てない」という負の連鎖にハマってしまいました。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る