荒木雅博が「意外だった」落合博満監督の野球「いま考えると、相手が勝手に自滅してくれたこともあった」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 荒木さんはコーチ時代、広島の菊池涼介選手の守備について「一歩目の足の運びがうまい」とおっしゃっていました。

荒木 菊池選手は"用心する選手"ですね。いろいろな打球に反応できるし、一見、派手に見えますが、要所で用心深いんです。たとえば、高いバウンドのゴロがきたら、少ししゃがんで「次はどこに弾むのかな」と瞬時に見極めています。そういうところを注視していると、ファンの方は守備に対する面白さが増すと思います。

── 遊撃手を例に出して申し訳ございませんが、ゴロを捕球する位置として、広岡達朗さんは「正面」、宮本慎也さんは「左足寄り」、井端弘和さんは「右足寄り」です。荒木さんはどうでしたか。

荒木 私は「正面」タイプでした。正面より右方向のゴロは、無理して正面に入るよりも逆シングルで、左手が動きやすいようにして捕っていました。

── 荒木さんの通算378盗塁はNPB史上11位の記録です。

荒木 6年連続30盗塁というのは、自分でも誇れる数字かなと。もともと足に自信がありましたから、1シーズンに30盗塁以上というのは、こだわりを持ってやっていました。盗塁はスタート、スピード、スライディングの"3S"とよく言われますが、そのなかでもスタートが重要だと思います。ただ、思いきりよくスタートをきるといっても、根拠のない思いきりは意味がない。「これだったら牽制はないな」など、下準備はします。

── "下準備"とは、クセを見抜くということですか。

荒木 はい。牽制のクセについては、私は投手を下(足)から全体的に見ていました。ベンチの中からみんなでクセを探していけば、なにかしらの違いが見えてきます。そうなったら本物。選手には"見る努力"をしてほしいと思います。あとは、スライディングした時、スピードが落ちないまま塁に到達することを意識して練習していました。

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