斎藤佑樹、ワンバウンド連発のプロ4年目の苦悩「けなされても喜べばよかった」と思う真意 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 その1カ月前(2014年4月10日)のイーグルス戦(札幌ドーム)でシーズン2度目の先発を任された時も、僕はフォアボールを連発してしまいました。2回を投げきることさえできずに(4個目のフォアボールを出したところで)交代......まだアウトを4つしかとってなかったのに、やたらと球数が多かった(51球)のは、自分のなかの恐怖心に勝てていなかったからなんでしょうね。

 あとは、自分のなかの盛り上がる気持ちにも勝たなければならないのに、それもできなかった。年末からブルペンに入って、あれだけ準備をしてきたのに、いざキャンプに入ってたくさんの人に見られると気持ちが高ぶってしまうというような......そういう盛り上がる気持ちを乗り越えないと、力んで、フォームがブレてしまう。結局は、目の前の結果にとらわれすぎていたんだと思います。

 今の自分の100%を出して、抑えにいこうとする。そこで変化球をこう曲げるとか、バッターの間をこうやって外すとか、ついそっちに頼ってしまう。初球からコーナーを狙って、アウトローいっぱいに真っすぐを投げる。2球目もスライダーがギリギリのいいところに決まって、追い込む。でも、それまでがあまりにいいボールだから、ツーストライクから投げるボールがなくなってしまう......。

 そうではなくて、もっとアバウトに、ポン、ポンとストライクを投げて、最後にピュッと投げたらそれがコーナーいっぱいに決まれば三振、甘く入っても低めなら内野ゴロになるくらいの、難しく考え過ぎないピッチングをすればよかったのかもしれません。

【けなされても喜べばよかった】

 思えばあの時期、僕はよく「がむしゃらさが足りない」と言われました。今ならいろんなことを受け流すことができますし、たしかにあの頃の自分にがむしゃらさは足りてないよな、と思います(笑)。

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