高木豊がパ・リーグの現役ドラフトで「まさか出すとは思わなかった」と驚いた選手は? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【"マエケン2世"はラストチャンス】

――近年、ピッチャー陣が充実してきた西武は、広島から中村祐太投手(28歳)を獲得。どう見ていますか?

高木 "マエケン2世"とも呼ばれて球種が豊富なのですが、まとまりがない。一生懸命に投げているという感じで、ピッチングを組み立てるまでに至っていないというか......。

 ただ、今季にリリーフになってからはファームでいい成績を残しています(28試合登板、2勝1敗1セーブ、防御率1.08)。西武は先発陣はいいですが、リリーフ陣が少し弱ってきているので、リリーフでチャンスを与えられる時があるかもしれません。年齢的にもラストチャンスだと思いますし、環境を変えたことで好転するといいですね。

――日本ハムは、ソフトバンクの水谷瞬選手(22歳)を獲得。プロ5年間で一軍での出場はありませんが、193cm、99kgと体格に恵まれ、パワーと俊足が光る外野手です。

高木 これは将来の可能性に期待しての獲得でしょうね。日本ハムの外野は万波中正が育って、松本剛がいて、センターには五十幡亮汰ら足の速い選手に守らせています。水谷も足はそこそこ速いですが、課題はバッティング。今年の夏ぐらいからノーステップに変え、少しずつ結果が出てきていたので今後が楽しみです。

 新庄剛志監督だったら必ずチャンスを与えると思うので、そのチャンスを掴めるかどうか。一軍の試合に出たことは1回もないですが、使ってみたら面白いかもしれません。新庄監督の場合、「ファームで成績を残したら一軍に上げる」のではなく、「一軍でどういうパフォーマンスを見せてくれるか」を必ず見るので。

 体格がかなりいいですし、秘めているパワーも相当なものがあるはず。新庄監督の"魔法の言葉"が活躍のきっかけを作ってくれるかもしれません。

――今回の現役ドラフトで指名された選手の中から、第二の大竹耕太郎投手、細川成也選手が生まれる可能性もある?

高木 十分にあると思います。チャンスは多少なりとももらえるはずですから、どのぐらい準備ができていて、いいパフォーマンスを見せられるのかどうか。それがすべてだと思います。見切られてしまうのも早いと思うので、与えられたチャンスを死にものぐるいでモノにしてほしいですね。

(現役ドラフトに感じた球団による温度差 開催時期変更も提言「選手ファーストに」>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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