高木豊がセ・リーグの現役ドラフトを総括 「12球団で一番いい選手を獲った」チームは? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【ヤクルトは元巨人の北村をサードに?】

――ヤクルトは、巨人から北村拓己選手(28歳)を獲得しました。パンチ力が魅力のバッターですが、ここ数年は出場機会が減っていました。

高木 長打力を秘めているバッターだと思いますが、チャンスがありませんでしたからね。タイプ的には代打ではないし、リズムを作って試合に臨んでいくような選手だと思うんです。ある程度我慢して使ってもらえたり、「こういう試合では必ず使ってくれる」といったチャンスを与えるといいと思うのですが、ヤクルトはそうしてくれると思いますよ。

――ヤクルトのほうがチャンスがある?

高木 長岡秀樹、武岡龍世、宮本丈らはまだ不安が残りますし、門脇誠の活躍で内野陣が固まった巨人よりはチャンスがあるんじゃないかと。それと、将来的なメジャー移籍を踏まえて、村上宗隆をサードじゃなくてレフトへ持っていく可能性もあると思っていて。それは僕の勝手な構想なのですが、もしそうなった場合にはサードで誰かを育てなきゃいけません。

 その1番手が山田哲人のサードへのコンバートとなれば、空いたセカンドに武岡を入れるのか。そうでなければ、武岡と北村をサードで併用するとか、左が先発だったら北村を使ったり。そういう感じで内野を試していく過程でチャンスをもらえると思うんです。北村の守備力を考えると二遊間はちょっと厳しいので、使うならサードかなと。

――どういった理由から、村上選手をレフトで起用する可能性を感じたんですか?

高木 村上のサードの守備は不安な部分があるので、ポスティングでメジャー移籍をする際に価値が高くなるのは外野のほうだと思うんです。コンバートする時期を考えると、そろそろリミットかなと。チームが勝つためにもそうしたほうがいいと思いますし、ヤクルトは比較的にレフトが空いている。そうなった場合、北村にサードを守らせることも一考です。

――中日は、ヤクルトから梅野雄吾投手(24歳)を獲得。今季は5試合の登板にとどまりましたが、通算216試合に登板するなどセットアッパーとして実績があります。

高木 梅野はバッターに向かっていくピッチャーですよね。その分、一発を打たれる確率は上がってしまうのですが、広いバンテリンドームだとホームランを打たれる心配が減ります。より腕が振れるようになって、バッターにより向かっていけるんじゃないですか。実績もあって、投げっぷりもいいですし、バンテリンドームを味方につけて活躍すると思います。

清水達也、勝野昌慶ら強力なリリーフ陣に加わっていく力は十分あると思います。経験を生かしたピッチングができるかどうかですね。

(パ・リーグ編:「まさか出すとは思わなかった」と驚いた選手は?>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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