高木豊がセ・リーグの現役ドラフトを総括 「12球団で一番いい選手を獲った」チームは? (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【巨人が獲った馬場は活躍の可能性大】

――DeNAはロッテの佐々木千隼投手(29歳)を獲得。他のチームにいけば活躍ができる選手として、高木さんは以前から名前を挙げられていましたね。

高木 ロッテは西村天裕、坂本光士郎、澤田圭佑ら他のチームから来たリリーバーが自分の地位を築き始めていて、佐々木の登板機会はほとんどありませんでした。ただ、一昨年のシーズンは、佐々木が投げるとチームが逆転したり、勝ち運を持っていた時期もありましたよね(2021年/54試合登板、8勝1敗26ホールド1セーブ、防御率1.26)。そういうことも含め、環境を変えればまだやれると思いますよ。

――先発の可能性もゼロではないですが、おそらくセットアッパーでの起用の可能性が高いと思います。DeNAのリリーフ陣に割って入っていけそうですか?

高木 DeNAは名前と実績はありながら結果が伴っていないピッチャーが増えつつあるので、チャンスはなくはないと思います。それと、佐々木が桜美林大時代に、元横浜(現DeNA)の野村弘樹が同大学の硬式野球部の特別コーチに就任して佐々木を指導していた時期があるんです。またアドバイスを受ける機会もあると思いますし、いい感覚を取り戻したり、再起のきっかけになればいいですね。

――巨人は、やはり高木さんが名前を挙げていた阪神の馬場皐輔投手(28歳)を獲得。阪神のリリーフ陣は層が厚く、ここ2年は登板機会が多くありませんでした。それでも今季は19試合に登板し、2勝1敗3ホールド、防御率2.45という成績でした。

高木 12球団を見ても、巨人が一番いい選手を獲ったなと思います。馬場はイニング数と同じ数の三振を取っていますよね(奪三振率9.00)。三振が取れるピッチャーはそれなりのテクニック、力もあるということを考えると、十分に戦力になります。

 巨人は今オフ、ソフトバンクとのトレードで泉圭輔、オリックスからは金銭トレードで近藤大亮などリリーバー候補を何人か補強していますが、彼らはまだ投げてみないとわからない状態です。その点、馬場の場合は何の心配もなくすぐに使えます。車に例えるなら「あとはナンバーをつけるだけで、すぐに走り出せる」状態。「ちょっとオイル漏れしているぞ」ということはないと思います。巨人はリリーフ陣を再建中ですし、馬場の補強は大きいです。

――馬場投手のいい部分は?

高木 力のある真っ直ぐと三振を取れるフォークですね。阪神で優勝争いを経験できていることも大きいですし、レベルの高いピッチャー陣の中で揉まれて育ってきたのも魅力です。ましてや、阪神から巨人への移籍はあまりないこと。巨人もメディアが多くプレッシャーのかかる環境ですが、同様にプレッシャーがかかる阪神にいたことで慣れているでしょうし、そういう面も含めて期待できます。

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