松田宣浩が明かす「40歳まで現役」にこだわり続けたワケ「約束を守れてよかった」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

松田宣浩インタビュー(後編)

前編:松田宣浩が振り返る「熱男」のプロ野球人生はこちら>>

 今季限りでユニホームを脱いだ松田宣浩のインタビュー後編では、「ケンケン」に代表される特徴的な打撃スタイルや、無観客や二軍の球場でも大声を張り上げる理由について赤裸々に語ってもらった。

2023年シーズン限りで現役を引退した松田宣浩氏 photo by Sankei Visual2023年シーズン限りで現役を引退した松田宣浩氏 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【ケンケン打法誕生秘話】

 打者・松田宣浩は、アマチュア時代から大きくモデルチェンジしている。亜細亜大時代の松田はバットを立てて構え、バットヘッドをしならせて振り抜くスラッガーだった。東都大学リーグ1部通算15本塁打(2部で4本塁打)を記録している。

 だが、鳴り物入りでプロ入りした松田は、早々に壁に直面する。1年目の時点で「バットを立てた打ち方では通用しない」と悟った。秋山幸二二軍監督(当時)の勧めを受けてバットを寝かせて担ぐように構える、今のスタイルへとつながっていく。

 そして、打撃改造の副産物として「ケンケン」が生まれたと松田は振り返る。

「僕にはパワーがなかったので、強い打球を打つために『反動をつけよう』と考えたんです。当時は反動をつける打ち方はよくないと言われていたんですけど、このままでは打てないとわかっていたので。ステップする時に右足から左足への体重移動を人よりも大きくして、強く飛ばす打ち方にしました。ファウルを打ったあとは、その反動で重心が右足に戻ってきて、ケンケンする形になるんです」

 松田にとってケンケンが出ることは「バランスよく振れている証拠」と、調子を測るバロメーターになった。

 右手と左手の間をわずかに離す独特のバットの握り方にも、松田ならではのこだわりがあった。

「右バッターは(左肩が投手側に来るため)左手のほうが長くなるじゃないですか。だから右手を少し離して、左手と同じ、もしくは右手のほうが長くなるようにしたんです。こうするとバットが下がらなくなるし、ヘッドを立てて振らないと木のバットでは打てませんから」

 そして、松田はこう続けた。

「今のスタイルになったことが、40歳まで野球を続けられた理由なのかなって」

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