プロ野球「もったいない選手」15人 屈指の快足、ウエスタン本塁打王らのブレイクに期待 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 それでも、体調万全時のスピードと外野からの突き刺すような強肩は本物だ。今オフには内野守備の練習にも取り組んでおり、首脳陣からの期待は高い。いずれは球界を代表するスピードスターにならなければおかしい逸材のはずだ。

 若手主体だった今秋の侍ジャパンメンバーのなかでは、藤原恭大(ロッテ)も早く「もったいない選手」を卒業してほしいひとりである。

 5年前のドラフト会議では3球団から重複1位指名を受けた大器。左打ちの外野手はプロ側の需要が低くなりがちだが、藤原のずば抜けた身体能力と豪快なフルスイングの前にスカウトたちも夢を見ずにはいられなかった。

 とくに大阪桐蔭高時代の体調万全時のスローイングは「レーザービーム」と呼ぶにふさわしい、惚れ惚れさせられる軌道だった。ただし、4年前に左肩関節唇を痛めて以降は、悪戦苦闘が続いている。今の藤原の送球を見るたびに「本当ならこんなもんじゃないのに......」というもどかしさが募ってしまう。

 肩だけでなく、自慢の足も故障がちで、今季5月には右太もも裏を痛めて一時離脱している。今季は自己最多の103試合に出場したものの、打率.238、3本塁打、5盗塁と期待に応えられたとは言いがたい。名実ともに侍ジャパンのユニホームが似合う選手になってもらいたいものだ。

ウエスタンリーグで4年連続本塁打に輝いたソフトバンクのリチャード photo by Koike Yoshihiroウエスタンリーグで4年連続本塁打に輝いたソフトバンクのリチャード photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【ファームで4年連続本塁打王】

 現在、ドラフト戦線では「右の強打者」の需要が高騰している。球界全体を見ても左打者が多く活躍しており、戦力バランスを整える意味でも右の強打者が求められているのだ。とはいえ、前述の細川(中日)の例もあるように、くすぶっている右打者も多い。そろそろ爆発に期待したい右の強打者と言えば、リチャード(ソフトバンク)と濱田太貴(ヤクルト)が双璧だろう。

 リチャードはバットに当たった瞬間の爆発力は群を抜いている。プロ6年目の今季、ウエスタン・リーグで史上初となる4年連続の本塁打王(19本塁打)を獲得した。もはや二軍にいてはいけない存在だが、一軍では今季22試合、64打席ものチャンスをもらいながら、打率.115、0本塁打、1打点と低迷。過去2年の124打数で54三振を喫したように、コンタクト面の課題が改善できていない。

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