侍ジャパン井端弘和監督がわずか4試合で証明した指揮官としての才 選手起用、ゲームプラン、采配が見事だった (4ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Ujihara Hideaki

【未来のプロ野球は明るい】

 今大会は決して大きいものではないが、来年のプレミア12や2026年のWBC、さらに2028年のロサンゼルスオリンピックなど、侍ジャパンの未来を考えるうえで貴重な経験となった。

 優勝が当たり前と期待されるなかで、井端監督が見せた戦いはこれまでの侍ジャパンの指揮官とはまた違った意味で期待感を抱かせてくれた。代表コーチを何度も務め、シーズン中は解説者として偏ることなく見てきたからこそ、選手の特徴を理解し、采配に落とし込めることができる。わずか4試合だったが、井端監督が目指す野球の一端を垣間見た気がした。

 また井端監督は、こんなメッセージを残した。

「チームがスタートした時、1日目だけはみんな様子をうかがっている感じがしたんですけど、2日目からは打ち解けあってやっていた。ただそのなかでも、居残りで練習する。向上心というものを、選手たちは忘れてなかったですね。何をするにも、みんなが一緒に行動しながらひとつの目的を持って練習している様子を見ると、もっともっと上を目指しているんだなと感じることができましたし、未来のプロ野球は明るいなと思いました。今回、成功した人もいれば、うまくいかなかった選手もいたと思うんです。これをレギュラーシーズンなどで生かしてもらって、また日の丸を背負って立つというところを心の片隅に残しながらプレーしてもらえれば、日本はもっともっと強くなっていくと思います」

 ただの寄せ集めではなく、ひとつのチームとしてみんなで戦う。そしてその根幹を支えるのが井端監督だ。これまでとはひと味違う新指揮官の登場に、これからの侍ジャパンが楽しみでならない。

プロフィール

  • 氏原英明

    氏原英明 (うじはら・ひであき)

    1977年生まれ。大学を卒業後に地方新聞社勤務を経て2003年に独立。高校野球からプロ野球メジャーリーグまでを取材。取材した選手の成長を追い、日本の育成について考察。著書に『甲子園という病』(新潮新書)『アスリートたちの限界突破』(青志社)がある。音声アプリVoicyのパーソナリティ(https://voicy.jp/channel/2266/657968)をつとめ、パ・リーグ応援マガジン『PLジャーナル限界突パ』(https://www7.targma.jp/genkaitoppa/)を発行している

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