侍ジャパン井端弘和監督がわずか4試合で証明した指揮官としての才 選手起用、ゲームプラン、采配が見事だった (2ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Ujihara Hideaki

 たとえば、初戦の台湾戦と決勝戦で第2先発としてゲームをリメイクし、勝利に貢献した根本悠楓(日本ハム)についてはこんな評価だ。

「根本投手のレギュラーシーズンを見ていると、立ち上がりからひと回りは相手バッターがほとんど手も足も出ない状態で抑えることができているんです。一方でふた回り目の4、5回ぐらいに捕まる傾向があったので、ひと回りは確実に抑えてくれると考えて第2先発に決めました。根本投手の体のキレというか、体のターンは合宿で見ていても魅力あるなと。まだまだ若い選手ですから、体力をつけていって長いイニングを投げられるようになれば、日本を代表する選手になれると思います」

 台湾戦は相手投手の好投もあって、苦戦を強いられているなかでの登板だったが流れを変えた。決勝戦でも2点ビハインドからの登板だったが、相手打線を封じて流れを呼び込んだ。ひと回りは相手打者を圧倒できると踏んだ、井端監督の観察力が光った。

 もっとも、ただ選手の特徴をつかむだけではない。その様子をうかがいながら、選手たちには声をかける準備も怠らない。

 宮崎での直前合宿では、先発陣4人を見た時点で決勝戦の先発は今井達也(西武)に託すと即決。「一番強い球を投げているから」というのが理由だ。そこから残り3試合の先発投手の選定に入り、サウスポーの隅田知一郎(西武)、早川隆久(楽天)のふたりを2、3戦目と決め、「今大会でひと皮むける」と隅田を韓国戦の先発に決めた。そして1戦目は、コントロールがよく、「地の利がある」と東京ドームを本拠地にしている赤星優志(巨人)に託した。

 赤星はしっかりゲームメイクし、隅田は韓国打線を7回零封、早川はオーストリア相手に5回完全投球だった。

【タイブレークでの代打・バントの理由】

 一方の打線は、「大きな舞台を知っている。どっしりしてくれたらいい」と牧秀悟(DeNA)を4番に固定。日本シリーズから調子のよかった森下翔太(阪神)を3番に置き、小園海斗(広島)を2番で起用した。その理由も明快だ。

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