楽天がドラフトで指名の8人中5人が高校生のワケ 将来のビジョンに見合った逸材たち (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 2位で指名した坂井陽翔が、その条件にピタリ当てはまった。手足が長く、マウンドで強烈な支配感を漂わせる。腕の振りのスピードと強靭さが抜群で、150キロ近い快速球も投げられるが、ストレートと同じ腕の振りからのスライダー、フォークが一級品で、その切れ味が光る。

 早いうちからイースタンリーグの実戦で登板できるだろうし、近未来の「右のエース」として最右翼の存在だ。

 3位の日當直喜はプロでも目立つほどの巨漢だが、技術を持っているのが大きなアドバンテージだ。カウントをとれるフォーク、ファウルを打たせるフォーク、空振りを奪うフォークを投げ分ける高校生など、過去に見たことがない。また、連投でも自らマウンドに向かう"投げる意欲"と"無尽蔵のスタミナ"も、彼のピッチングを支える重要なファクターだ。

 7位の大内誠弥は「佐々木?希二世」の匂いがプンプン漂っている。マウンドでの立ち姿から、投球フォーム、ボールの角度まで、大船渡高当時の佐々木朗希の姿が重なる。

 伸びやかで長い手足、きれいなオーバーハンドからバックスピン抜群の速球がコンスタントに140キロ台をマークして、同じ軌道からいい落差で沈むフォークも絶品。現在の体重77キロから身長に見合った筋肉量がついた時、どんなボールを投げられるようになるのか。想像しただけで震えがくる。

 5位で指名された松田啄磨は、大学生ではあるが将来性を評価された選手。クセのないフォームから角度抜群の球筋。3年秋のリーグ戦あたりからエース格で投げ始め、今季は絶対的エースとして奮投。アベレージ140キロ前半のストレートとフォークを軸にしながら、オーバーハンドなのに高く抜けるボールがほとんど見られない制球力が光る。

【将来のチームリーダー候補も】

 線の細かった体がこの1年で均整のとれたボディに成長した4位のワォーターズ璃海ジュミルは、リストの効いたスイングからの打球スピードも格段に上がり、守備でもフィールディングに安定感が増し、実戦力が上がった。

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