1992年阪神快進撃を有田修三が振り返る「コーチは酒飲んでケンカ。強くなるはずやね」 (5ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 球団による補強策の失敗もあり、93年も阪神は勝てず、4位に転落する。その後、長く低迷するのだが、有田自身は95年までコーチを務め、その後、近鉄でも指導。阪神では山田のほか関川浩一、近鉄では古久保健二、光山英和、的山哲也、藤井彰人といった捕手を育てた。この6人全員が指導者になったことが「ワシの誇り」と言う有田にとっての原点が、92年だった。

「それはすごい経験させてもらったからね。コーチなんて、本気じゃないヤツいっぱいおるんよ。自分が生きる道ばっかり考えて、選手に媚売って、上に胡麻すってな。でも、あの年の阪神は、自分の技術で選手を引っ張ろうと思うコーチばっかりやった。だからみんな熱かったし、本気だったし、ケンカするけどしょっちゅう集まったんよ」

(=敬称略)

有田修三(ありた・しゅうぞう)/1951年9月27日、山口県生まれ。宇部商から新日鉄八幡を経て、72年ドラフト2位で近鉄に入団。75年に正捕手となり、同年から2年連続してダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)を獲得。86年トレードで巨人に移籍。88年には移籍後初となる2ケタ本塁打を記録し、カムバック賞を受賞した。90年ダイエーに移籍し、一軍バッテリーコーチ補佐を兼務していたが、91年に現役を引退した。引退後は阪神、近鉄でコーチを務めた

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プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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