中学時代0本塁打の鵜久森淳志はプロに注目されるため高校でホームランバッターへと変身し、日本ハム入団を果たした (2ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro

── 身長190センチ近い長身とその長打力がプロ野球のスカウトの目に留まり、北海道日本ハムファイターズから8位指名を受けました。

鵜久森 スカウトの人と話をすることはなかったので、ドラフト会議前は実際に指名されるかどうか不安でした。指名されたと聞いて、ほっとしたというのが正直なところでした。甲子園で対戦したダルビッシュ有(東北高/現・パドレス)が1位だったので、「一緒の球団に入るんだな」と思いました。

── 契約金は3500万円、年俸は480万円。この金額を聞いてどう思いましたか。

鵜久森 まだ高校生だったので、新聞に3500万円と書かれていても、ピンと来ていませんでした。多いとか少ないとかも全然。もちろん、管理は親に任せて、お小遣いをもらうような立場でした。

【同期入団の選手はスーパースターに】

── 球団は2004年に本拠地を北海道札幌市に移しましたが、鵜久森さんは千葉県鎌ケ谷市にあるファイターズの寮でプロ野球人生をスタートさせました。

鵜久森 プロ野球選手はこんなにお金をもらえるんだなという驚きがありました。それまでアルバイトをしたこともなくて、見たことのない金額をもらって「本当に使っていいのか」と思っていました。

── プロ1年目の2005年。イースタン・リーグ公式戦96試合のうち88試合に出場。8本塁打(リーグ7位)を放ったものの、打率(2割2分8厘)と三振数(90)はリーグ最下位でした。

鵜久森 試合にはたくさん出してもらいましたし、練習でも絞られました。ずっと試合か練習をしているというのは高校時代と同じ。それでお金をもらえることが不思議でしたね。一軍でプレーしている先輩には「おまえらはまだプロ野球選手じゃないぞ」と言われていました。一軍の選手たちがお客さんを集めて、球団として利益が出るわけじゃないですか。「おまえらはまだ何も貢献していないんだから」と言われたことを覚えています。「少しでも早く、ここからはい上がらないと」と思いました。

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