阪神・岡田彰布監督が語った「采配合戦」の怖さ「外れた時の大きさのほうを考えたら...簡単にサインなんて出せない」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 オリックスは7回、代打レアンドロ・セデーニョのヒットなどでチャンスをつくり、2番・宗佑磨がセンター前タイムリーで2点を加えて3対3の同点に。7回途中からマウンドに引きずり出した阪神の3番手・石井大智をイニングまたぎの8回に攻め、一死一、三塁のチャンスをつくると、中嶋監督は代走からレフトの守備に入っていた9番・小田裕也の打席でT−岡田を代打で送る。阪神の岡田監督が左腕の島本浩也を投入すると、オリックスは代打の代打・安達了一を打席へ。

 はたして、中嶋聡監督はスクイズを仕掛けるのか、強攻させるのか。一塁走者の廣岡大志が初球で二盗を成功させてチャンスを拡大したなか、中嶋監督が選んだのは強攻だった。

 が、結果はサードゴロで本塁突入した三塁走者の紅林弘太郎がアウトに。二死一、三塁となった直後、阪神の岡田監督は右前腕筋挫傷、左脇腹筋挫傷などから139日ぶりの復帰となる湯浅京己を5番手に送った。

「フェニックス(リーグ)でずっと抑えてたからな。状態とか、そんなん関係ないよ。ここまで来たら」

 昨年、最優秀中継ぎに輝いた湯浅の力を信じたことに加え、岡田監督は相手打線の並びを冷静に見ていた。

「ツーアウトで、左(打者)が続いて、(次は)右やったからな」

 湯浅は1番・中川圭太を1球でセカンドフライに仕留め、大声援を受けてベンチに戻った。阪神は9回表をクローザーの岩崎優が無失点に抑えると、その裏、4番・大山が殊勲打を放ってサヨナラ勝利。今シリーズの対戦成績を2勝2敗の五分に戻した。

【見応えある両監督の采配合戦】

「遅くまで、すいませんでした」

 試合後の勝利監督インタビューで謝罪から入ってスタンドの爆笑を誘った岡田監督は、裏の通路で待ち構える報道陣の前に現れると、次々と打った手の意図を説明した。最後、勝負を分けた9回裏の攻撃についてはこう話している。

「中野を(申告敬遠)やった時には、森下も敬遠と思ったけどな。まあ、1点勝負やからな、結局はな。でも(ワゲスパックは)フォアボールのあるピッチャーやからな。それはちょっと、どうかなと俺は思ったよ。逆にな。フォアボールがあるのにな」

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