立浪中日に起きた「令和の米騒動」「10失点続投」に広岡達朗が言及 「信念がなく、思いつきでやるから騒ぎになるんだ」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

 そう語る広岡も監督時代、選手たちに玄米を勧めていた時期があった。

「白米断ちをやろうとする意図はわかる。オレも監督時代、1970年代後半から80年代前半にかけて、春季キャンプ、遠征での食事で玄米を推進した。なぜ玄米かというと、野菜に多く含まれるビタミンとミネラルが補給できる。それと玄米に含まれるγ−オリザノールの働きによって、脂肪の多い食事を欲っしなくなるというデータがある。野菜を摂らず、肉ばかり食べる選手にとって効率よくビタミンが摂れるから玄米食を採り入れたんだ。

 それと試合前の食堂には、バナナ、オレンジ、グレープフルーツといった果物と野菜スティックしか置かなかった。試合前にたくさん食べることがなぜいけないかというと、食べたものを消化しようとして、内臓に血液が集まるから、筋肉の絶対量が減る。そういう状態でプレーすると血流が悪くなり、ケガをしやすくなる。だから、お腹は空かしておいたほうがいいのだ」

 玄米食については、ただの思いつきで始めたことではないと広岡は言う。

「こういった食事管理を採り入れる前に、オレは勉強したし、大学の先生を呼んで選手の前で講義してもらった。あと、選手の奥さんを呼んで勉強会を開いたこともあった。最初は思いつきかもしれないが、それを確証するためにまず自分で勉強して、問題点をあぶり出し、専門家にレクチャーしてもらう。それを踏まえて、選手にストレスなく納得して食べてもらえるように指導法を考える。オレの場合も、選手たちは納得せず、ストレスが溜まっていたようだけど、結果が出てくると文句を言っていた選手たちも食べるようになった。

 別に自分を正当化しようと言っているのではない。あのまま勝てなかったら、もっとひどいバッシングを受けていただろう。それでもやめない覚悟と信念があった。選手とのコミュニケーションの問題もあるが、まずは自分自身が納得するまで勉強して、それをコーチ陣たちと共有し、しっかり議論できたかどうかが問題なのだ。首脳陣が一丸となっていないから、こういった情報が外部に漏れ、騒ぎも大きくなるのだ」

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