ベイスターズ史上最強助っ人、ロバート・ローズの日本での後悔「自分の仕事じゃないって放棄していた」 (3ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • photo by Sportiva

── あの......通訳に乱れが生じているので穏やかにお願いしますね。

ローズ すまない(笑)。僕が成績を残すことができたのは、このKK(小島通訳)とYAS(川島通訳)というふたりの通訳のおかげだからね。彼らが家族の面倒も含め、僕がゲームに集中する環境をつくってくれたんだ。でも、ちょっと聞いてみたいんだけど、こうやって通訳を介して会話をするというのは、どういう気持ちだい?

── うーん、会話の細かいニュアンスと、リズムがつかめないことにもどかしさを感じることがありますね。

ローズ その気持ち、すごくわかるんだ。引退してから、これまで日本語を勉強してこなかったことをどれだけ後悔したことか。現役時代はやっぱりグラウンドでの成果を上げることに固執していたあまり、日本語を学ぶことは自分の仕事じゃないって放棄していたんです。あの時、僕がちゃんと日本語でダイレクトに話ができたら、ササキサン(佐々木主浩)やコマダサン(駒田徳広)、シゲ(谷繁元信)たちとの理解はもっと深く強くなっていたはず。それをしてこなかったことがやっぱり悔しくてね。

── ではこれから日本語を勉強しようという気になっていると。

ローズ (日本語勉強のアプリを見せながら)じつはもうはじめています(笑)。

── 25年前にやり残したことを56歳になってからはじめるなんて、頭が下がります。

ローズ いやいや。年齢は言い訳の理由でしかなくて、何をするにも遅いということはないんです。常に挑戦しなければならないと思っています。

── そういえば、今年になってからSNSをはじめられたこともびっくりです。

ローズ ずっと、イヤだったんだよ。何年か前から末娘のリアンナと彼女のフィアンセから「あなたは情報を発信するべき人だ」と何度も説得させられてね。僕はソーシャルメディアもiPhoneのこともよくわからないデジタル難民の50代のおじさんです。SNSの何が苦手かって、発信と言えば聞こえはいいけど、自分自身の内面を見つめ、自分の恥部を曝け出すものじゃないかと思っていてね。「冗談じゃないよ」と断っていたけど、今年になり、何度目の説得かでついに折れてアカウントを開設してみたんだ。そうしたら、日本のファンの方が熱心に見てくれて、リアクションが返って来る。遠くにいても"つながっている"というやつだよね。

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