ロバート・ローズが明かす来日1年目のキャンプでの不安 進藤達哉と石井琢朗の守備に「心の底からヤバイと思った」 (4ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • photo by Sankei Visual

【試合後の考える時間が重要だった】

── メンタルといえば、ローズさんは2年連続で9打席連続安打をしたこともあれば、サイクルヒットは3回。打ってほしいと願う、重圧がかかる場面にことごとく強かった印象があります。あの勝負強さはどう培ったのでしょうか?

ローズ たとえば、5試合連続ヒットを続けているバッターの心理に言及してみます。ここに「いい選手」と「超いい選手」の分かれ道があるんです。5試合打ちました。そしたら6試合、7試合と続けたいと思うのが「いい選手」のレベル。「超いい選手」はそうじゃない。ヒットが5試合続いても、10試合続いても変わらないんです。メディアや周囲がいくら騒いだとしても、それを追いかけない強さがあるんですよ。ここでメンタルのアプローチを変えてしまうと、その先にはバッティングのメカニックを狂わせてしまう要因があるのです。

── 勉強になります。

ローズ 試合を観ていて「このバッター打ちそうだな」と直感することはないですか? あの感覚は正しくて、「この選手調子よさそう」とか「打ちそうだな」って選手はだいたい打てるんです。問題はその状態をどれだけ長く続けるか。調子のよいレベルにいけるのはみなさんプロだからできる。超一流は、外野の声、試合状況、相手ピッチャーの攻めなど、外的な要因に惑わされることなく、自分をこの高いレベルに置き続けられること。その違いなんですよ。

── つながりました。ローズさんの現役時代は、あらゆる場面でのメンタルを一定にして高いレベルで調子を維持するために、集中を惑わせるすべてのことを除外していたんですね。

ローズ 人間は弱いですから、どうしても外的な声に惑わされてしまうし、自分が本来持っていた強い気持ちが揺らいでしまうことがあるんです。大事なことは自分に自信を持つこと。逆転のチャンスでいい当たりが野手の正面を突いてアウトになった。落ち込まない。いい打席だった。クオリティアウトとして自信を持ち続ければいいんです。

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